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ID 96348
Title Transcription
エイキュウ マイセツ カタワクヨウ レンゾク センイ ホキョウ ポリマー セメント モルタル ニ カンスル ケンキュウ
Author
堀井, 克章
Content Type
Thesis or Dissertation
Description
本研究は,地球環境問題となっている熱帯材合板からのコンクリート用型枠材の転換,
工場製品の導入や型枠工事,養生,表面仕上げなどの簡素化による現場施工の合理化,建
設廃材や仮設材の削減,ち密でひびわれが生じにくく,着色や模様化も可能な表層を設け
ることによるコンクリート構造物の耐久性や美観の向上,環境資源である天然砂の保全や
産業副産物の有効利用などを目的とした高機能永久埋設型枠の開発に関するものである。
永久埋設型枠は,型枠としての機能後も取り外さずにコンクリート構造部材の表層に埋
設し,構造物の耐久性を高めるもので,本研究では,連続繊維メッシュ補強材と水性ポリ
マーディスパージョン改質材などの比較的新しい素材やフェロニッケルスラグ砂などの副
産物をセメントモルタルに利用し,経済的で成形しやすく,高機能で汎用性に富む永久埋
設型枠製品を製造し,これを従来からの現場打ちコンクリートと複合化させた新しい工法
として定着させるための学術的な基礎資料を得るための実験を行って考察を加えている。
実験では,様々なポリマーやメッシュおよび数種のセメントや骨材を使用したモルタル
の諸性状を調査するとともに,モルタルの加熱による促進養生効果,現場打ちコンクリー
卜と接合する面に色々な突起を設けたモルタルと現場打ちコンクリートとの一体性, モル
タル型枠を埋設した小型の鉄筋コンクリートはりの載荷性状などの検討を行っている。
本研究より得られた結果を以下に要約する。鉄筋コンクリート構造部材に埋設する永久
型枠には, SA系水性ポリマーディスパージョン,フェロニッケルスラグ砂,早強ポルトラ
ンドセメント,界面活性型消泡剤などを使用した高流動モルタルを,エポキシ樹脂による
熱圧含浸処理あるいはPAE系水性ポリマーディスパージョンによる簡便な浸漬乾燥処理を
施し,耐アルカリ性や結合力を高めたガラス繊維メッシュで補強するのが良い。これらの
材料を用いることで,モルタルの諸物性,耐久性,美観などが大きく改善される。このよ
うなモルタルでは,湿潤養生後の乾燥養生で品質が向上し,早期材齢での強度を改善する
には,長期強度や耐久性に一部問題があるものの,蒸気養生や熱乾燥養生などの促進養生
が有効となる。メッシュやモルタルの性状評価には,物性や耐久性などに関する従来の試
験に加えて走査電子顕微鏡観察などが有効となる。砕砂や砕石を埋込んだり,溝状や千鳥
状の凹凸を転写したり,ワイヤブラシがけなどで接合面を処理したモルタル板をコンクリ
ートに埋設すると,接合面に2面せん断応力や割裂引張応力が作用しても比較的高い耐力
を保持できる。小断面の鉄筋コンクリー卜はりは,接合面を砕砂で処理した連続繊維補強
ポリマーセメントモルタルの埋設で,良好な一体性が確保でき, ひびわれ発生荷重が上昇
してひびわれ幅が抑制され,曲げ耐力,せん断耐力および靭性の改善効果もある。
耐荷力, 遮へい性, 美観などに優れた連続繊維補強ポリマーセメントモルタルは,永久
埋設型枠にとどまらず,補修・補強材,道路・高層建築付帯施設,修景材,貯蔵・遮へい
施設,各種の建設資材などにも適用可能となる。永久埋設型枠は,コストや製造法,建設
現場での組立てや接合などの技術,新たな設計法の確立など,実用化には解決すべき問題
も多く,その形式にも様々なものが考えられる。本研究と相前後して開発された個々に特
徴のあるいくつかの型枠が,世紀の事業である本州四国連絡橋などで試験施工されている
ように,永久埋設型枠工法は,注目されつつある建設技術であり,多方面で研究や施工の
実績を蓄積し,設計法や施工法が標準化されることを期待する。
Published Date
1996-09
Remark
画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
FullText File
language
jpn
MEXT report number
乙第1532号
Diploma Number
乙工第30号
Granted Date
1996-11-15
Degree Name
Doctor of Engineering