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ID 96864
Author
Naoi, Hiroyuki Doctor Course in Materials Science and Engineering Graduate School of Engineering The University of Tokushima
Content Type
Thesis or Dissertation
Description
本研究では,新しいIII-V族化合物半導体であるInNxAs₁₋xの結晶成長実験を行なった,V族側元素として
窒素とそれ以外の原子を含む材料(例えば,GaNxP₁₋xやGaNxAs₁₋xなどのIII-N-V混晶)では,バンドギャ
ップエネルギーが大きなボーイングをもつなどの特徴が予期されている. すべてのIII-N-V混晶の中で,
InNxAs₁₋xは一番小さなバンドギャップエネルギーを持ち,中間窒素固相比においては負のバンドギャップ
エネルギーを持つ可能性も予期されている. InNxAs₁₋xは,赤外線用の材料として有望であり,CdxHg₁₋xTe,
SnxPb₁₋xTe,InAsxSb₁₋x,GaxIn₁₋xPyAs₁₋yなどの従来の赤外線用材料に取って代われるものであると考えられ
る. InNAsはIII-V族窒化物半導体デバイス上の低抵抗オーミック電極用材料としても興味深いものであ
る. InNAsは研究テーマとして興味深いものであるが,GaNPやGaNAsほど研究されてはいない. 本研究
では,さまざまな成長法を用いて,(100)GaAs基板上InNAs結晶成長を試み,以下の結果が得られた.
まず,アンモニアを窒素源として用いた有機金属気相成長法(MOCVD法)によりInNxAs₁₋x(x= 0~0.061)
が得られた. InNAsのバンドギャップエネルギーは窒素の固相比が大きくなるほど小さくなった.
InN₀.₀₆₁As₀.₉₃₉のバンドギャップエネルギーとして0.12eVという値が得られた. この値は,従来のIII-V族
化合物半導体の中で,lnAsxSb₁₋xを用いて得られたバンドギャップエネルギーの最小値0.10eVに匹敵するも
のである. この成長法では,窒素の固相比を大きくすることはできなかった. InNAsの成長温度における
アンモニアの低熱分解効率が低窒素固相比の原因であることを明らかにした.
次に,プラズマ支援MOCVD法による成長を試みた. 窒素ガスを窒素源として用い,マイクロ波プラズマ
を起こすことによりすべての原料ガスを混合したものを基板の上流で分解した. これは,窒素の回相比の
大きな均質なInNAsを成長させることを目的とした. しかし,結晶化したInNAsを得ることはできなかっ
た. 同成長法によりInNの成長も試みたが,膜質はきわめてアモルファスに近いものであった. 気相中の
活性種間での化学反応が,膜質が悪いことの原因であると結論された.
続いて,分子線エピタキシー法(MBE)において, V族原料比N/Asを調整することにより,GaAs成長基
板に格子整合したInN₀.₃₈As₀.₆₂の作成に成功した. 成長層は相分離し膜中にlnAsが含まれていた.
最後に,上に示したプラズマ支援MOCVD法での反省をふまえ,気相中での化学反応を抑制することを目
的として,窒素ラジカルを他のガスと混ぜずにMOCVD反応炉に導入することにより結晶成長を試みた.こ
の成長法では,低生成率プラズマ生成アルシンをAsの原料として用いた. これはV族原料比N/Asを大き
くすることにより,窒素の固相比の大きなInNAsを作成することを目的とした. InNxAs₁₋x(x= 0.06~0.13)
を得ることができたが,成長層はいずれも相分離を起こし,膜中にウルツァイト構造InNを含んでいた. ウ
ルツァイト構造InNが形成されたのは,成長開始直前の基板表面の窒化が原因であると指摘した. また,こ
のプラズマ生成アルシンを用いてInAs単結晶膜作成に成功した.
Published Date
2001-03
Remark
画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
FullText File
language
eng
MEXT report number
甲第1191号
Diploma Number
甲工第185号
Granted Date
2001-03-26
Degree Name
Doctor of Engineering