ID | 96870 |
Title Alternative | 供血者血のHCV第二世代抗体スクリーニングによる輸血後肝炎予防効果とHCV感染状況
|
Author |
Nishikado, Tomoko
The 2nd Department of internal medicine, school of medicine, The University of Tokushima
|
Content Type |
Thesis or Dissertation
|
Description | 本邦では,輸血後非A非B型肝炎(輸血後肝炎)予防のため1989年11月より全
国日本赤十字社血液センターにおいて供血者血のC100-3抗体スクリーニングが 開始された.その結果,10~20%に認められていた輸血後肝炎が,3%前後に低下 したが,C100-3抗体のスクリーニングだけでは輸血後肝炎を予防するのは不十分 であった.1992年2月より輸血血のC型肝炎ウイルス(HCV)スクリーニングに第二世 代抗体が導入されるようになり,輸血後肝炎の発生率はさらに低下したが,未だ数 %の発生が認められる.しかし,これらの輸血後肝炎がHCV感染によるものかどう かは明らかにされていない.そこで著者らは,第二世代抗体スクリーニング後の輸 血後肝炎発生率とHCV感染状況を明かにするため,第二世代抗体陰性血輸血 例について,ALT,第二世代抗体,および適宜HCV-RNAを測定し,C100-3抗体 スクリーニング時の輸血後肝炎と比較検討した.さらに,輸血後肝炎の病態を明 らかにするため,ALT値の推移とHCV-RNA陰陽別の手術条件についても検討し た. 対象は1992年2月(第二世代抗体スクリーニング)以後の輸血例205例のうちの 経時的に観察し得た115例(A)および1989年6月から1992年1月の聞のC100-3抗 体スクリーニングの輸血例209例のうち,retrospective に輸血血が同定され,第二 世代抗体陰性血が輸血された輸血例93例(B)を用いた.輸血例(A)および(B)につ いて輸血前,輸血後1,2,3,4,6,8,12,24,36,48週の一般肝機能検査,輸血 後12,24週の第二世代抗体およびHCV-RNAを測定し輸血後肝炎の発生率と HCVの感染状況を検討した.HCV-RNAは輸血後肝炎確診例3例,疑診例8例の 輸血血,患者血について測定した.輸血後肝炎11例について手術時間,麻酔時 間,出血量,血圧等の手術条件を検討した. 輸血後肝炎の診断は1992年3月の厚生省肝炎研究連絡協議会による輸血後非 A非B型肝炎診断基準に従い,輸血後肝炎例について,ALTの異常値(30IU/ L以上)が輸血後6か月以上確認できたものを慢性化(+)とした. 得られた結果は次の知くである. 1.第二世代抗体陰性血輸血例208例の輸血後肝炎(確診および疑診例)発生 率は11例(5.2%)であり,C100-3抗体スクリーニング時の10.5%に比較し有意に 減少した. 2.輸血後肝炎11例におけるHCV-RNA陰陽別のALT活性の経過は,HCV-R NA陽性例ではALT値ピークまでの期間が長く4週以後の第二ピークが存在 する率が高く,陰性例ではALT値ピークまでの期間が短く,4週以内の一過性 の上昇がみられた. 3. HCV陰陽別手術条件を比較すると明きらかな差異はみられなかったが,確診 例では疑診例に比べて手術時間および麻酔時間が長く出血量が多い傾向 がみられた. 4. 輸血後肝炎の診断にALT値のみならず,手術条件の影響も考慮する必要が あると考えられた. 5. ALT値の4週以後の第二ピークおよびHCV-RNA陽性で輸血後肝炎と考えら れた例が11例中2例にみられたが,いずれもretrospectiveに第二世代陰性血 輸血例で、あった. 6. HCV-RNAおよび第二世代抗体が陰性でALT値が4週以内の一過性の上昇 を示し,輸血後肝炎と診断された例が11例中5例にみられた. 7. 現行の輸血後肝炎診断基準はALT値に基づくもので輸血後肝炎の診断には 不十分であり,新しい診断基準の導入が必要と考えられた. |
Published Date | 1996
|
Remark | 画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
|
FullText File | |
language |
jpn
|
MEXT report number | 乙第1583号
|
Diploma Number | 乙医第1448号
|
Granted Date | 1997-12-12
|
Degree Name |
Doctor of Medical Science
|