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ID 95706
タイトルヨミ
チョウオンパ タンショウ シケン ヒョウカ ノ タメ ノ ファジィ エキスパート システム ノ コウチク ニ カンスル ケンキュウ
著者
松浦, 洋司
資料タイプ
学位論文
抄録
各種溶接構造物の溶接欠陥の検査として非破壊検査が行われており,その中で超音波探傷
試験は作業性の良さや装置の性能の向上などにより,最近広く用いられるようになってきて
いる。超音波探傷試験は,資格を持った検査技術者によって行われており,試験結果から欠
陥の種類,欠陥寸法および欠陥等級を推定し,欠陥の合否を判定している。しかしながら,
これらの推定にはかなりの熟練が必要とされるばかりでなく,推定規準にあいまいな点が多
く検査技術者の主観の違いによる推定結果の差異が問題となることが少なくない。また,近
年の労働力不足により検査技術者の育成が難しくなっている。
一方,各分野において専門家の知識や経験を知識ベース化し,初心者でも専門家と同じ様
に判定ができるエキスパートシステムの研究が行われ,一部実用化されている。最近では,
専門家の知識や測定データなどに含まれるあいまいさをファジイ理論を用いて扱うファジィ
エキスパートシステムの研究も行われている。
以上のような観点から,本研究では超音波探傷試験評価のためのファジィエキスパートシ
ステムの構築に関する研究を行った。
はじめに,上記のシステムのプロットタイプの構築を行った。システムはワークステーシ
ョン上に, Common Lisp 言語を用いて開発したもので,推論エンジン,知識ベースおよびワ
ーキングメモリから構成されている。通常,知識やデータの量が多くなると推論に要する時
間が長くなるので,この問題を解消するために知識やデータをグループ化する黒板モデルを
採用した。その際に,知識はIF-THEN形式のプロダクションルールで表現し,フレームモデ
ルによってグループ化した。知識は検査技術者から獲得し,その知識に含まれるあいまいさ
をメンバシップ関数や確信度を用いて表現した。推論にはあいまいさを扱うことができるよ
うにファジィ推論を用いた。開発したシステムの推論結果と検査技術者による推定結果との
比較から,本システムの推論精度の高さが確認された。しかし,本システムにおいて一部の
データに不適切な結果が得られていることとメンバシップ関数が一人の検査技術者の経験的
知識に基づいていることおよび妨害エコーについての判定ができないことから,改良の余地
が残されていることが指摘された。
次に,ファジィ推論の中で問題となる結合演算子の選定およびメンバシップ関数の改良を
行った。結合演算子は多数提案されているので,それらを本システムに適用し最も推論精度
の良いものを選定した。メンバシップ関数については,複数の検査技術者によって差異があ
ることから,それらの差異を調整しチューニングを行い作成した。これによって,プロット
タイプでみられた不適切な推論結果は解消され,精度が向上したことが確認された。
さらに,これまでのシステムは,ワークステーション上に構築されているため持ち運びが
困難なことおよび妨害エコーについて考慮されていないことなどの問題があった。そこで,
持ち運びが可能なパソコン用のシステムの構築および妨害エコーについての知識の補充を行
った。パソコン用のシステムの構築の際には推論時間の短縮についても検討した。妨害エコ
ー判定用の知識に含まれるあいまいさについてはこれまでと同様にメンバシップ関数等を用
いて扱った。検査技術者の推定結果との比較より,妨害エコーについても精度良く推論でき
ることが確認された。
本研究によって超音波探傷試験の結果から欠陥の状況を精度良く推論できるファジィエキ
スパートシステムが構築できた。さらに,本研究で用いたファジィエキスパートシステムの
開発手法は,他のシステムの開発に十分適用できるものと思われる。
発行日
1994-03
備考
画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
フルテキストファイル
言語
jpn
文科省報告番号
甲第701号
学位記番号
甲工第25号
学位授与年月日
1994-03-26
学位名
博士(工学)