ID | 85524 |
タイトルヨミ | ピリドン カルボンサンケイ コウキンザイ ト フェンブフェン ノ ヘイヨウ ニヨル ケイレン ホッサ ユウハツ ノ キジョ ニ カンスル ヤクブツ ドウタイガクテキ ケンキュウ
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著者 |
直良, 浩司
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資料タイプ |
学位論文
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抄録 | 近年,厚生省医薬品副作用情報などにより,ピリドンカルボン酸系抗菌剤(キノロン剤)と非ステロイド性鎮痛消炎剤フェンブフェン(FNB)の併用時に痙攣発作を誘発することが報告された.その発言機序の解明は有効かつ安全な薬物療法を遂行する上で重要である.本研究では,ラットを用いて4種のキノロン剤(シプロフロキサシン=CPFX,エノキサシン,ノルフロキサシン,オフロキサシン)とFNBとの薬物動態学的な相互作用に関して基礎的かつ系統的な検討を行った.
まず, 各キノロン剤単独静注時とFNB併用時のキノロン剤の血漿中濃度推移,速度論的パラメータおよび蛋白結合率を比較することにより,キノロン剤の血中動態に及ぼすFNBの影響を検討した.静注後のキノロン剤の血漿中濃度は二指数関数的な消失挙動を示した. FNBを同時投与するとキノロン剤の消失相の血漿中濃度が上昇し,消失相での半減期の延長あるいは全身クリアランスの低下が生じた. FNBはその99%以上が血清中で蛋白 と結合するため,併用薬の蛋白結合に影響を与える可能性が考えられる. キノロン剤の結合形分率は,FNBの併用によりわずかに低下する場合が一部に認められた. 以上のようなフェンブフェン併用によるキノロン剤の血漿中濃度の上昇や結合形分率の低下は,中枢におけるキノロン剤濃度を上昇させると予想され,併用による痙攣誘発に関係するものと考えられた. 次に, FNBとその活性代謝物フェルビナク(FLB)の血中動態に及ぼすキノロン剤の影響を検討した.いずれのキノロン剤を併用してもFNBおよびFLBの血漿中濃度推移ならびに速度論的パラメータに変化は認められなかった. さらに,蛋白結合率に関してもキノロン剤の影響は観察されなかった. キノロン剤は高い割合で尿および胆汁中ヘ未変化体として排泄されることが知られている. FNBの併用によって生じたキノロン剤の血中濃度の上昇を説明するために,CPFXの腎および胆汁中排泄に及ぼすFNBの影響を検討した. CPFX静注後180分までの未変化体の尿中累積排泄率はFNBの併用により低下したのに対し,胆汁中排泄率に変化は認められなかった.さらに併用時にはCPFXの腎クリアランスが約20%低下する傾向を示した.この ことから,FNBの併用時に観察された血漿中からのCPFXの消失の遅延には,その腎クリアランスの低下が関与していることが示唆された. 次に,キノロン剤およびFNBの併用と痙攣発作誘発とを関連付けるため,中枢神経系へのCPFXの移行動態に及ほすFNBの影響を検討した.FNBの併用により静注後の血清,脳および脳脊髄液(CSF)中のCPFX濃度は上昇した. 併用群の脳/血清中非結合形濃度比ならびにCSF/血清中非結合形濃度比は単独群に比較して高値を示した.さらに,CPFXの血液-脳および血液-CSF間の見かけの拡散クリアランスはFNBの併用により増大することが明らかとなった.これらの結果から,FNBの併用はCPFXの血中濃度を上昇させるだけでなく,血液-脳あるいは血液-CSF関門の透過性を亢進させることにより,CPFXの中枢神経系への移行を増大させる可能性が示唆された.以上のことから,FNBの併用はキノロン剤の血中動態ならびに中枢移行動態を変化させ,中枢神経系におけるキノロン剤の濃度を上昇させるため,キノロン剤の有する中枢神経系の副作用である痙攣発作を誘発すると考えられる.本研究によって明らかとなったキノロン剤とFNBの薬物動態学的な相互作用は,両薬物の併用時に報告されている痙攣発作誘発のメカニズムの一つであると考える. |
発行日 | 1991
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備考 | 画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
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フルテキストファイル | |
言語 |
jpn
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文科省報告番号 | 乙第1190号
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学位記番号 | 乙薬第2号
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学位授与年月日 | 1991-07-26
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学位名 |
博士(薬学)
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