ID | 95700 |
Title Transcription | ポリヒドロキシフラボン ユウドウタイ ノ ゴウセイ
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Author |
富永, 秀明
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Content Type |
Thesis or Dissertation
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Description | フラボン類は植物界に広く分布する植物色素の一群で、古くから研究され多く
の化合物が知られているが、ポリヒドロキシフラボン類の合成は困難な場合が多 く、これらの一般的性質も必ずしも明らかでないために、天然フラボンの推定構 造に誤りがある場合も時々見られる。また、近年フラボン類の多彩な生理活性に も注目されるようになっておりこれらの研究の発展のためにも、簡便な合成法 の開発が望まれている。このような観点から、フラボンの原料となるアセトフェ ノン類の合成法、続いて6-ヒドロキシ-5,7-ジメトキシフラボン誘導体の選択的脱 メチル反応について検討し、5,6,7-トリヒドロキシフラボン類、5,6,7-トリヒドロ キシ-3-メトキシフラボン類および3,5,6-トリヒド口キシ-7-メトキシフラボン類の 新しい簡便な合成法を確立するとともに、数種の天然産フラボンの構造訂正を行 なった。 ポリヒドロキシアセトフェノン誘導体の簡便な合成法として、エーテル中、無 水塩化アルミニウムを用いるFriedel-Crafts反応でポリメトキシベンゼンをアセチ ル化する方法が知られているが、この方法で1,2,3,5-テトラメトキシベンゼンをア セチル化すると、目的のアセトフェノン以外に分離困難な目的物のエーテル交換 体を副生する。まず、この原因を解明する目的でこの反応を詳細に検討し、エー テル交換体の生成を抑え簡便に目的物を合成できる条件を確率するとともに、反 応機構を提案した。またこの結果から、本研究のようなポリヒドロキシフラボン 類の選択的脱メチル反応に、溶媒としてエーテルの使用は不利であることがわ かった。 一方、6-ヒドロキシ-5,7-ジメトキシフラボン類(1)にアセトニトリル中、無水塩 化アルミニウムを作用させると、5-、7-位のメトキシ基が段階的に開裂し、ある一 定時間後には5,6-ジヒドロキシ-7-メトキシフラボン類(2)と5,6,7-トリヒドロキシ フラボン類(3)の混合物となり、反応時聞を延長してもほとんどその生成比は変化し ないことがわかっている。この原因の解明は3の簡便な合成法に発展するものと考 えられるため、1およびそのアセテートのアセトニトリノレ中、無水塩化アルミニウ ムによる脱メチル反応を詳細に検討した。その結果、反応時間を延長しても2と3 の生成比にはほとんど影響しない大きな理由は、1の脱メチル反応により生じた2 のアルミニウム錯体の7-メトキシ基の開裂反応と平行して、6-ヒドロキシ基と溶媒 のアセトニトリルとの縮合によるイミノエステルの生成反応が進行し、7-メトキ シ基の開裂を抑制するためであることがわかった。しかしそのアセテートの脱メ チル反応においては、このようなイミノエステル化反応が進行し難いために、反 応時間の延長とともに脱メチル反応が進行し、高収率で3を生成する。この際、B 環のアセトキシ基は開裂を受けやすいヒドロキシ基に隣接するメトキシ基の開裂 も抑制できた。また、6-ヒドロキシ-3,5,7トリメトキシフラボン類の脱メチル反応 においても、3-メトキシ基を開裂することなく上述の反応と同様の挙動を示した。 この結果はアセテートの脱メチル反応が5,6,7-トリヒドロキシフラボン類の一般的 合成法として利用できることを示している。続いて、6-ヒドロキシ-3,5,7-トリメト キシフラボン類の保護基を用いた選択的な脱メチル反応について検討し、3,5,6-ト リヒドロキシ-7-メトキシフラボン類の簡便な合成法を確立した。 以上の方法によって得られた5,6,7-トリヒドロキシフラボン類および3,5,6-トリ ヒドロキシ-7-メトキシフラボン類の一般的性質を明らかにするとともに、天然産 ブラボン類との比較を行なった。その結果、構造に疑問が持たれる3種の天然フラ ボン類については、その構造を推定するとともにそれらの構造訂正を行なった。 |
Published Date | 1994-03
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Remark | 画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
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FullText File | |
language |
jpn
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MEXT report number | 甲第686号
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Diploma Number | 甲工第10号
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Granted Date | 1994-03-26
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Degree Name |
Doctor of Engineering
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