ID 96800
Title Transcription
ヒカリ ソウアンテイ オヨビ ヒカリ スイッチ ゲンショウ ニ カンスル ケンキュウ
Author
Content Type
Thesis or Dissertation
Description
3次の非線形光学効果である光誘起屈折率変化を用いた光スイッチ,光双安定素子は,光で光を制御する全光学素子である。非線形緩和時間の小さな材料を用いることで,これまでにない非常に高速で大量の情報を処理できるシステムの構成素子になると考えられている。これを実現する構造として,電子的三次非線形光学材料であるポリジアセチレン(PDA)を用いた全反射減衰(ATR)配置がある。ATR配置では表面プラズモンポラリトン(SPP)や導波光(GW)を励起して光強度増強効果を利用すれば,光スイッチ,光双安定現象の低入力パワー動作が可能と考えられる。しかし,これまで熱屈折率効果などによる光双安定現象しか観測されておらず、電子非線形性による高速応答の光スイッチ,光双安定現象は観測されていない。また,理論解析においても非線形性光学材料の線形・非線形損失,非線形性の飽和や,入射光のビーム径,広がり角のような,光スイッチ,光双安定現象に大きく影響を与えるパラメータについての考慮が十分に行われていない。
このような背景の下,本研究ではATR配置において発生する光スイッチ,光双安定現象の,より現実に近い条件下での計算機シミュレーションを行い,低入力パワー動作の条件を明らかにすることを第一の目的とする。PDA-C4UC4蒸着膜を用いたATR配置で光スイッチ,光双安定現象の観測実験を行い,これらの特性を明らかにすることを第二の目的とする。第三の目的は,低入力パワー動作が期待されるグレーティング構造を持つチャネル導波路における光双安定現象の正確な理論解析方法の確立と,グレーティングや導波路の各パラメータが光双安定現象に与える影響について明らかにすることである。
このような目的で行った本研究の主な成果をまとめると,
・光スイッチ,光双安定現象の理論検討より(1)ATR配置で非線形性光学材料の線形・非線形損失,非線形性の飽和を考慮した光双安定現象及び、入射光のビーム径,広がり角を考慮した光スイッチ現象の数値計算方法を確立した。(2)光スイッチ,光双安定現象に必要な入射光パワーは,SPPやGWの電界分布が,線形損失媒質や,自己誘起屈折率変化を示す媒質を占める割合で決まる。(3)対称導波路構造を持つATR配置を用いれば,光導波路に線形損失があっても低入力パワー動作可能。(4)入射光のビーム広がりが適度に存在する方が,ビーム広がりが無い場合に比べ低入力パワーで光スイッチ現象が生じる。(5) レリーフ型グレーティング構造を持つチャネル導波路で発生する光双安定現象について,縦方向の電界成分を正しく考慮した計算法を確立した。
・ATR配置で光スイッチ,光双安定現象の観測実験より(1)TaFD9プリズム-銀蒸着膜-PDA-C4UC4蒸着膜構造では,銀が熱の発生源となって熱屈折率効果による光双安定現象が発生し,GWよりもSPP励起の方が低入射光パワー(約100mW)動作した。(2)熱屈折率効果による光双安定現象は時間応答速度が約1秒と遅く,動作に必要な光パワーは瞬時値ではなく,時間平均値に依存することがわかった。(3)TaFD9プリズム-屈折率整合油-PDA-C4UC4蒸着膜-BK-7基板の低光損失媒質で構成された対称導波路構造を持つATR配置で,GWからの再放射光のパルスナローイング現象が観測された。入射光強度13kW/cm2 (パルスピーク値)で動作し,応答速度がピコ秒より速い電子的非線形性に起因する現象であることがわかった。
以上の結果より,低損失の媒質でATR配置を構成し,短パルス光を利用して瞬時パワーを上げつつ時間平均パワーを下げると,熱屈折率効果を押さえ,電子的非線形性に起因する光スイッチ現象を観測できうることが明らかになった。これにより,PDAを用いた超高速光情報処理素子の一形態としてATR配置が有用であることが証明された。
Published Date
2000-10
Remark
画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
FullText File
language
jpn
MEXT report number
乙第1758号
Diploma Number
乙工第63号
Granted Date
2000-11-17
Degree Name
Doctor of Engineering
departments
Science and Technology