ID | 95714 |
Title Transcription | コウソク ディーゼル キカン ノ ハイシュツ ビリュウシ オヨビ ゼンタンカ スイソ ノ セイセイ キコウ ト ソノ テイゲン
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Author |
岡本, 昌章
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Content Type |
Thesis or Dissertation
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Description | ディーゼル機関は熱効率と燃料適応性の高さを生かして幅広い分野で
活躍しているが, 窒素酸化物N0xやすす等の有害物質の排出が多いと いう問題を抱えており,今日では環境破壊や人体への悪影響が深刻化し ているこうした状況に対して有害排気物質の低減努力が進められ,現 在までにN0xとすすに関しては低減の目処が立ったと考えられる. し かし, 特に人体への影響が懸念される微粒子中の可溶有機分S0Fおよ び全炭化水素THCといった排出未燃炭化水素については,それらの生 成過程すら十分に解明されていない. 本研究ではこのような状況をふま えてS0FやTHCの低減のための指針を得ることを目的としてそれ らの生成過程の解明を試みた. まず第2章では,計測システムを確立し,排気の計測,排出未燃炭化 水素の組成分析,燃焼解析の方法を検討した. THCとS0Fの組成分 析を試みた結果から,THCとS0Fの成分範囲は異なり,THCはC1 ~C21程度の成分で構成されるのに対し,S0Fはそれよりも高沸点の 成分を多く含み,C14~C25程度の成分で構成されることがわかった. 第3章では,広範囲の運転条件にわたって計測した排気特性を基に, 有害排気物質の排出傾向を概説し,窒素酸化物の低減のためには初期の 燃焼率を低下させて最高圧力の上昇を抑えることが. すすの低減には主 燃焼を活発化させて燃焼を速やかに終了させることが有効であることを 示した.THCとS0Fについては,当量比や燃焼特性値に対する排出 傾向が良く似ているにも関わらず, 広範囲の運転条件にわたってみると 相関がないことから,燃焼経過だけではそれらの排出量を予測できない ことがわかった. 第4章では,壁面近傍の局所的な状態を変化させるために,燃焼室壁 面をセラミックスで遮熱して,排出未燃炭化水素の生成に及ぼす影響を 調べた. その結果,遮熱場所によって未燃炭化水素の排出に及ぼす影響 が異なり,条件によっては遮熱により排出未燃炭化水素が増加すること や, 燃焼室の壁面に付着,残留した燃料がガス温度や壁面温度の上昇に より蒸発して,排出未燃炭化水素を増加させる可能性があることと,T HCよりも高沸点成分を多く含むS0Fの方がその影響を強く受けるこ と等がわかった. さらに始動直後と十分時間が経過した後でTHC排出 量や燃焼経過を比較した結果から,始動直後等のようにくぼみ内での初 期燃焼が活発で,隙間への未燃分の流出が少ないと考えられる条件では, THCの排出量が減少するという推定を示した. これを受けて第5章では, ピストンくぼみ内の流動を強め未燃焼成分 の隙間部への流出を抑制する目的で,リエントラン卜燃焼室を用いてS OFやTHCの排出傾向を調べた. その結果,リエントラン卜燃焼室に より隙間部への未燃分流出が抑制され, 特に噴射時期を遅延させた場合 に排出未燃炭化水素を低減する効果があることがわかったまた,上死 点隙間の影響を調べた結果, 隙間が大きく上死点後に隙間部での流動が 急速に弱まる場合も, 隙間が小さく強い逆スキッシュにより未燃分の流 出が促進される場合も排出未燃炭化水素が増加し. 隙間部への未燃分の 流出量だけでなく,流動の適正化も重姿であることがわかった. 本研究においては,排出未燃炭化水素の低減のためにはくぼみ内にお ける燃焼の活発化,隙間部における混合気量と流動の適正化,および壁 面付着の抑制が重要であることを実機のデータをもって示した. 本研究 で得られた結果は,ディーゼル機関から排山される有害排気物質を低減 するための一つの指針となるものと考える. |
Published Date | 1995-03
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Remark | 画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
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FullText File | |
language |
jpn
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MEXT report number | 甲第757号
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Diploma Number | 甲工第35号
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Granted Date | 1995-03-26
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Degree Name |
Doctor of Engineering
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