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ID 96801
Title Transcription
VEP シカクセイ ユウハツ デンイ オヨビ ノウハ エノ ラベンダー オヨビ ペパーミント ノ ニオイ ノ コウカ
Author
Kinogiri, Michiko
Miki, Sachiko
Yamanishi, Kazunari
Ikuta, Takumi
Content Type
Thesis or Dissertation
Description
匂いの情報は嘆覚伝導路を通じて大脳辺縁系,視床下部に入力され,本能的行動や感情
に影響を与える.近年,匂いの脳機能に及ぼす影響については,脳波,事象関連電位,
PETなどによる研究がある.しかし,匂いの大脳誘発電位ヘ及ぼす効果についての研究
は当教室の聴覚性誘発電位(AEP) による研究しかない.木研究では健常成人男性15名
を対象として,ラベンダーおよびペパーミントの匂いを含む空気を吸入させ,視覚性誘発
電位(VEP)を含む脳波を,単極誘導(O1→A1+2)および双極誘導(O1→ Cz) から,
匂い刺激前,刺激中および刺激後2回にわたって計4回記録し,各VEP成分の潜時,振幅お
よび脳波パワー%について統計的に検討して以下の結果を得た.
1.ラベンダーの匂い刺激中から後にかけ,両記録誘導で短潜時VEP成分P3,N3潜時が
有意なものも含めて延長し,長潜時成分では, P4~P7潜時で概ねすべての成分が有意に
延長した.振幅は,短~長潜時成分において有意な変化はすべて減少であった.本研究で
は70msecまでの短潜時成分を皮質下反応とし,それ以降を皮質視中枢における反応とと
らえ,前記の短~長潜時成分における潜時延長,振幅減少から,ラベンダーの匂い刺激に
より視床(外側膝状体)から後頭葉および広範囲の皮質視中枢での興奮伝達が抑制された
ものと理解した.脳波パワー%では,匂い刺激中にはα2波帯域では増加したが,刺激後
はθ波帯域では有意に増加した。すなわちラベンダーの匂い刺激は脳波上,緊張抑制効果
を示した後時間経過とともに鎮静催眠効果を示したものと考えられた.
2. ペパーミントの匂い刺激中から後にかけ,両記録誘導で短潜時VEP成分潜時には有
意な変化がなく,長潜時成分ではP5潜時が有意に延長し,振幅は短~長潜時成分におい
て有意に減少した.このことから,ペパーミントの匂い刺激もラベンダーの匂いと同様に
潜時延長,振幅減少を示しVEPに対して抑制的に作用したが,有意な変化をきたした成分
が少なく,短潜時成分潜時に有意な変化がないことから,その作用は弱く,皮質下におけ
る視覚神経伝達にはほとんど影響を及ぼさないものと理解した.脳波パワー%では,匂い
刺激中にα2波帯域では有意な減少,β2波帯域では有意な増加,およびô波帯域では有意
でない増加を認め,これらの変化は刺激後は消失したが,匂い刺激中の変化は,抗うつ薬
の示す脳波変化のパターンに該当することから,ペパーミントの匂いが抗うつ薬に類似し
た作用をもつ可能性が示された.
3.本研究での匂いによるVEPへの影響は,皮質下では嗅覚系から視床網様核を介して
外側膝状体での神経伝達に作用を及ぼしたものとして理解した.ラベンダーおよびペパー
ミントの匂いのVEPへの抑制作用は.その強さおよび作用部位は異なるが,いずれも外側
膝状体および皮質視中枢の抑制性神経伝達物質GABAを介する抑制作用によるものとして
理解できた.
Remark
画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
FullText File
language
jpn
MEXT report number
甲第909号
Diploma Number
甲医第578号
Granted Date
1998-03-26
Degree Name
Doctor of Medical Science
departments
Health Service and Counseling Center