ID | 96872 |
Author |
Akamatsu, Tetsuya
Department of Biological Science and Technology|Faculty of Engineering
Tokushima University Educator and Researcher Directory
KAKEN Search Researchers
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Content Type |
Thesis or Dissertation
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Description | インスリンに代表されるペプチドホルモン, 神経ペプチドや増殖因子といった生理活性ペプチドや蛋白質
の大部分はまず,不活性な前駆体蛋白質として合成され,特異的酵素(プロセシング酵素)による前駆体蛋白 質中の塩基性アミノ酸対部位(LysArg,ArgArgのカルボキシ末端側)での限定切断を受けて生理活性を有す る成熟体となる.従って, この限定切断は生理活性ペプチド・蛋白質生合成において必須の過程であり,そ のようなプロセシングに関与する酵素の生理機能の解明は生物学的に極めて重要である. 1984年に酵母のプロセシング酵素であるKexin(EC3.4.21.61)が同定されて以後,哺乳類においても Kexinの相同体であるfurin,PC2,PC1/PC3,PACE4,PC4,PC5/PC6及びLPC/PC7/PC8からなる一群 のKexinファミリープロテアーゼが同定されている.これらのKexinファミリープロテアーゼはCa²⁺依存性の セリンプロテアーゼで,サチライシンに類似の触媒領域を持つことから順にサチライシン様プロ蛋白質変換 酵素(Subtilisin-like Proprotein Convertase; SPC) SPC1・SPC7とも呼ばれる. 本論文はファミリーの1つPACE4(SPC4)の生理機能の解明を目的として,その組織・細胞特異的発現を 主として組織化学的手法により詳細に解析した研究成果である. PACE4は1991年にKieferらにより同定さ れたが,その後Tsujiら(1994)及びMoriら(1997)により複数のアイソフォームの存在が明らかにされた.個々 のPACE4アイソフォームの生理機能を解明するためにはまずアイソフォーム各々の組織・細胞特異的発現を 詳細に解析することが必要不可欠であるにもかかわらず.これまで全く明らかにされていなかった.本研究 では特に,プロセシング活性を有し,C末端構造の違いから生体内で異なる機能を果たすと考えられる2つ のアイソフォーム, PACE4AとPACE4Eの中枢神経系における発現を,各々に特異的なジゴキシゲニン標識 化アンチセンスcRNAプローブを用いたin situハイブリダイゼーション法により,成獣ラット脳及びその発 生段階において詳細に解析し,アイソフォーム個々の発現部位をはじめて特異的に検出した. 成獣ラット脳では,2つのアイソフォームは広範囲に発現し,その発現は非常に類似していた.また,神 経ペプチドの豊富な領域・細胞など特定の部位で特に強く発現しており,PACE4EとPACE4Aの一方または 両方の神経ぺプチド生合成への関与が示唆された. 更に,種々の発生段階においてもPACE4EとPACE4Aは よく似た発現パターンを示し,発生過程が進み脳の層構造が形成されるにつれ明らかに特定の領域・細胞に 局在化が認められた.このことはPACE4EとPACE4Aが増殖因子,神経栄養因子あるいは細胞接着分子など のプロセシングを介して中枢神経系の形成に深く関与していると考えられる.実際にPACE4アイソフォーム がどの様な生理活性ぺプチド・蛋白質と共存しているかも全く不明であったが,本研究において初めてニュ ーロペプチドY,副腎皮質刺激ホルモンや接着分子L1などとの共存が明らかになった.以上より,PACE4ア イソフォームが種々の生理活性ぺプチド・蛋白質の活性化により中枢神経系の構造と機能の形成・維持に重 要な役割を果たしていることが示唆され,PACE4の生理機能の解明において極めて重要な知見が得られた. |
Published Date | 1997-09
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Remark | ・ 画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開) ・ p.58-117には下記参考論文5本が掲載されているが、著作権保護のため画像データからは割愛している。主論文 ① Akamatsu,T., Daikoku,S.,Nagamune,H.,Yoshida,S.,Mori,K.,Tsuji,A. and Matsuda,Y.,Developmental expression of a novel Kexin family protease,PACE4E,in the rat olfactory system.Histochem. Cell Biol. (1997) in press 副論文 ① Nagamune,H.,Muramatsu,K.,Akamatsu,T.,Tamai,Y.,Izumi,K.,Tsuji,A. and Matsuda,Y.,Distribution of the Kexin Family Proteases in Pancreatic Islets: PACE4C Is Specifically Expressed in B Cells of Pancreatic Islets. Endocrinology 136 (1995) 357-360 ② Mori,K.,Kii,S.,Tsuji,A.,Nagahama,M.,Imamaki,A.,Hayashi,K.,Akamatsu,T.,Nagamune,H.,and Matsuda,Y.,A novel human PACE4 Isoform,PACE4E Is an active processing protease containing a hydrophobic cluster at the carboxy terrninus. J. Biochem. 121 (1997) 941-948③ Nagamune,H.,Muramatsu,K.,Higashine,M.,Akamatsu,T.,Tamai,Y.,Yonetomi,Y.,Tsuji,A.,Izumi,K.,Sakaguchi,T.,Yoshida,T. and Matsuda,Y .,Cyclic AMP-inducible procalcitonin processing in thyroidal parafollicular cells is regulated by the Kexin family protease,PC1.In: Katunuma,N.,Kido,H., and Travis,J.(eds)Medical Aspects of Proteases and Protease Inhibitors. IOS Press,Amsterdam. (1997) in press ④Tsuji,A.,Hine,C.,Tamai,Y.,Yonemoto,K.,Mori,K.,Yoshida,S.,Bando,M.,Sakai,E.,Mori,K.,Akamatsu,T. and Matsuda,Y.,Genomic organization and altenative splicing of human PACE4(SPC4),Kexin-like processing endoprotease.J. Biochem. (1997) in press
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FullText File | |
language |
eng
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MEXT report number | 甲第901号
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Diploma Number | 甲工第96号
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Granted Date | 1997-09-05
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Degree Name |
Doctor of Engineering
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departments |
Bioscience and Bioindustry
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