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ID 96261
Title Transcription
ケイサンキ シミュレーション ニヨル イオン コタイ ヒョウメン ソウゴ サヨウ ニ カンスル ケンキュウ
Author
Kawata, Jun
Content Type
Thesis or Dissertation
Description
核融合実験装置(JT-60等)において、プラズマ閉じ込め特性を向上させるには、プラズマ
対向壁材料の選択や開発が重要である。そのためには、周辺プラズマ中の粒子の輸送過程
を含めた、プラズマと対向壁の境界付近で生じているイオン反射、スパッタリング、電子
放出等のイオン・固体表面相互作用に関する情報が必要である。低エネルギー(≤10keV)で
のこれらの現象は、通常行われている実験による測定結果とは異なるので、装置内におけ
る各現象をモデル化した計算機シミュレーションを行い、情報を収集する。
シミュレーションの基礎データとして、荷電粒子(イオンと電子)の固体内における弾性衝
突と非弾性衝突(電子励起)に対する断面積の計算を行った。低エネルギーでは、イオンと電
子の弾性衝突が起こり易く、電子に比べイオンの電子励起が起こり難い事がわかった。
計算した衝突断面積と分布関数(散乱角度と励起電子エネルギー)を用いて、イオン衝撃に
よる電子放出(運動放出)のシミュレーションを行った。入射イオンのエネルギーが高く、質
量が軽く、荷電状態が高くなるに従い、電子放出係数は増加し、エネルギ一分布は2-3[eV]
にピークを示しながら高エネルギー側に広がった。放出角度分布は余弦分布を示した。更
に、実験により観測されている、入射角依存性の逆余弦則からのずれや電子放出統計分布
のポアソン分布からのずれを再現した。表面凹凸の大きさと表面仕事関数の変化は、電子
放出の減少や増加と、放出角度分布の余弦分布からのずれを導いた。これらの結果から次
の事がわかった。イオン反射の効果には、イオンが国体から出る時、表面近くで生じる付
加的な電子励起の効果と入射直後の反射により、電子を殆ど励起しない効果があり、それ
ぞれ電子放出の増加と減少を導き、軽いイオンに対して重要である。反跳原子の効果は、
表面付近の衝突カスケードにより生じる付加的な電子励起と反跳原子のスパッタリングで、
それぞれ電子放出の増加と減少を導き、重いイオンに対して重要である。電子カスケード
増倍過程は、表面近くの電子放出を増加させるが、過剰な増倍は電子放出の減少に繋がる。
プラズマイオン衝撃による、壁材料からのイオン反射とスパッタリングに関して、プラ
ズマと対向壁間の粒子輸送過程を含むシミュレーションを行った。壁材料の組成が変化し
ない場合の計算結果からは、粒子輸送過程において、粒子はイオン化され、回転しながら
移動し、壁表面に再堆積する事がわかった。特に、質量が重く、荷電状態が低く、低エネ
ルギーのイオンは、再堆積し易い。再堆積は、スパッタリングを減少させ、重い材料表面
の損耗を抑制した。壁材料の組成が変化する場合の計算結果からは、衝撃イオンの注入は、
イオン反射と材料原子のスパッタリングの減少と、注入されたイオンの付加的なスパッタ
リングを導く事がわかった。更に、再堆積により、この傾向が強まる。不純物C3+がW表面
を衝撃する場合、プラズマ中の粒子輸送過程を含まなければ、C3+束が増加するに従い、電
子温度に依存して、Cの堆積、損耗から堆積への遷移、浅い損耗が生じたが、粒子輸送過程
を含むと、再堆積のため厚いC層がW表面上に形成され、堆積のみが生じた。燃料のD+と、
不純物C3+とO3+がW表面を同時衝撃する場合、プラズマ中の粒子輸送過程を含まなければ、
D+やO3+のイオン束に占める割合が増加するに従い、D+やO3+による付加的なスパッタリング
が増加し、堆積から損耗への遷移が生じたが、粒子輸送過程を含むと、再堆積のため、表
面損耗は抑制された。
Published Date
1996
Remark
画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
FullText File
language
jpn
MEXT report number
乙第1529号
Diploma Number
乙工第27号
Granted Date
1996-11-15
Degree Name
Doctor of Engineering