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ID 96900
Title Transcription
コーヒーサン ト ソノ コウゾウ ルイジタイ オヨビ カンポウ ホウザイ ノ カッセイ サンソ ニ タイスル ヨクセイ サヨウ ト サヨウ キサ
Author
大西, 基代
Content Type
Thesis or Dissertation
Description
本研究では植物に含有されるフェノール性物質に注目し、活性酸
素に対する作用の検討を行った。特にトリプトファンとコーヒー酸がアミド
結合した化合物であるCaffeoyltryptophanについては、本研究がはじめて生理
活性を報告し、活性酸素に対する作用とその作用機作について考察を行った。
その結果、強力なラジカル不活化作用、O⁻₂の不活化作用、リノール酸ミセ
ルの脂質過酸化抑制作用、赤血球の脂質過酸化および溶血抑制作用を認め、
また、Caffeoyltryptophanの示す抗酸化作用が強力なラジカル捕捉作用に基づ
くことを示した。Caffeoyltryptophanの示す抗酸化作用は代表的な抗酸化剤で
あるall-rac-α-トコフェロールと同程度であった。同様に、コーヒー酸とその
構造類似体について検討した結果、コーヒー酸、クロロゲン酸および
3,5-Dicaffeoylquinic acid(3,5-DCQA)に強力なラジカル不活化作用、O⁻₂の不活
化作用、リノール酸ミセルの脂質過酸化抑制作用、赤血球の脂質過酸化およ
び溶血抑制作用を認めた。3,5-DCQAはall-rac-α-トコフェロールより強力な
ラジカル不活化作用を示し、コーヒー酸、クロロゲン酸はall-rac-α-トコフェ
ロールより強力な脂質過酸化および溶血抑制作用を示した。また、クロロゲ
ン酸に四塩化炭素により誘導されるin vivoにおける脂質過酸化の抑制作用
を認めた。電子顕微鏡による観察から、脂質過酸化により赤血球は破壊され
溶血が起こることを明らかにし、コーヒー酸が脂質過酸化抑制により赤血球
の形状を維持し、強力に溶血現象を抑制していることも明らかにした。さら
に、コーヒー酸、クロロゲン酸および3,5-DCQAの示した作用が、強力なラ
ジカル捕捉作用に基づくことを明らかにした。トリプトファンが今回の実
験系においてはまったく活性を示さなかったことと、コーヒー酸を2個もつ
3,5-DCQAが最も強力な活性を示したことからコーヒー酸構造類似体の示す
ラジカル不活化作用の機序を示し、コーヒー酸類がラジカル反応の開始反応
および連鎖反応の抑制により溶血、肝障害などを防御することを示した。生
薬の欝金に含まれ、フェルラ酸、桂皮酸およびp-クマル酸が構成成分であ
るクルクミノイドが赤血球の脂質過酸化抑制作用を示すことを明らかにした。
しかし、フェルラ酸、桂皮酸およびp-クマル酸には赤血球の脂質過酸化抑
制作用も、四塩化炭素により誘導されるin vivoにおける脂質過酸化の抑制
作用も認められなかった。このことから、コーヒー酸類とは異なり、クルク
ミノイドはフェルラ酸とは作用機序が異なることが示唆された。
漢方薬は成人病や婦人病などでその役割が強く求められているが、それら
の疾患には活性酸素が関与すると言われている動脈硬化や血管障害などの疾
患が多いことから、治療に用いられている漢方薬の効能と含有する抗酸化成
分とは無縁ではないと考えられる。活性酸素が発症に関与していると言われ
ている糖尿病の治療薬である八味地黄丸、白虎加人参湯にラジカル不活化作
用、赤血球の脂質過酸化が関与している瘀血症の治療薬である桃核承気湯、
桂枝茯苓丸、当帰芍薬散にラジカル不活化作用、O⁻₂の不活化作用、赤血球
の脂質過酸化および溶血抑制作用を認めた。桃核承気湯、桂枝茯苓丸の示す
作用がラジカル捕捉作用に基づいていることを明らかにした。
Published Date
1998
Remark
画像データは国立国会図書館から提供(2012/3。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
FullText File
language
jpn
MEXT report number
乙第1660号
Diploma Number
乙薬第34号
Granted Date
1999-01-15
Degree Name
Doctor of Clinical Pharmaceutical Science