ID | 96846 |
Title Transcription | ファジィ スイロン オ モチイタ コウショ サギョウシャ ノ モデリング ト セイギョ ニ カンスル ケンキュウ
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Author |
野口, 真児
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Content Type |
Thesis or Dissertation
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Description | わが国は国際的競争時代を迎え,バブル崩壊後の影響が残るなかで少子化・高齢化社会へ
の備えを迫られている。そのため,マクロ的に経済全体の生産性を押し上げる効果を持つ良 質な社会資本のストックが必要であり,これに建設業が担う役割は大きい。しかしながら, 労働力の高齢化と不足は深刻であり,労働死亡災害の約4割を占める危険な業種でもある建 設業において,生産性を向上させ施工の合理化,安全確保を図ることが大きな課題である。 これらの問題への解決策として,工事の機械化に大きな期待が寄せられているものの,厳 しい自然環境下で強い非線形性を有する油圧アクチュエータを用いた建設機械の操作はオペ レータに大きな負担を強いる。また,空間的作業を行うため複数の駆動軸を有する建設機械 において,効率よい作業を行うためには複数の駆動軸を同時に協調して動作させねばならず, オペレータには各軸の非線形性を補う操作に加えて軸間の干渉を補償し多軸を協調して動作 させることが要求され,操作はより一層熟練を要するものである。従って,油圧アクチュ エータの非線形性を十分抑圧し,オペレータの指令に遅れなく追従するサーボシステムおよ び軸間の干渉を抑制した協調制御システムを構成しなければならない。 本論文では,以上の点を考慮して対象の線形性を前提としないファジィ推論を利用し,建 設機械の実用を前提とした制御手法およびモデリング手法について述べている。以下に本論 文の構成と概要を述べる。 まず,第2章では,本研究で用いた伸縮ブーム型高所作業車の構造,実測システムおよび 油圧器機や機構上の特性,駆動軸間の干渉といった高所作業車の持つ特性について述べる。 第3章では,非線形性の強い油圧サーボシステムの追従特性を改善するために,制御ルー ルを自動的に調整する自己調整ファジィコントローラ(STFC)について検討している。ファ ジィ制御を適用するにあたって,実機への実装を前提として,計算量の削減や必要なメモリ 量を低減させる制御ルール数低減化法を提案している。これを高所作業車に適用した場合の 実測結果から提案したシステムの有用性を確認している。 第4章では,油圧駆動される多軸の協調制御問題について検討している。一般に産業界で 用いられる多軸駆動システムでは,個々の駆動軸の制御精度より各軸の出力がある関係を満 足しつつ共通の目標を達成する協調化精度を重要視する場合が多い。こうした問題に対し, 追従特性の改善のために前章で提案したSTFCを各軸コントローラとして,また,協調化特 性の改善のために軸間の相互干渉を抑制する1)非干渉化制御システムおよび2)幾何学的モ デルに基づく協調制御システムを提案し,高所作業車の作業台の水平・垂直移動に適用した 場合の実測結果から同システムの有用性を確認している。 第5章では,強い非線形性を有する油圧アクチュエータにより駆動される複数の駆動軸と 複雑な機械構造から構成される建設機械の制御コントローラを効率よく設計するために必要 なモデルの実用的導出手法について検討している。パラメトリックなシミュレーションを要 する物理モデルに対し,本研究では入出力信号の実測結果からファジィモデルを構築する実 用的なモデル構築手法を提案しており,油圧器機の非線形性および機械の姿勢変化に伴う動 特性のパラメータ変動を,自己調整ファジィ推論と特徴的な機械姿勢における線形近似モデ ルを用いてモデル化している。本手法により高所作業車のモデリングを行い,実測結果に基 づく実用的モデリング手法であることを確認している。 第6章では,総括として本研究の成果について述べている。 |
Published Date | 1998-03
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Remark | 画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
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FullText File | |
language |
jpn
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MEXT report number | 甲第946号
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Diploma Number | 甲工第119号
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Granted Date | 1998-03-26
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Degree Name |
Doctor of Engineering
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