Total for the last 12 months
number of access : ?
number of downloads : ?
ID 97121
Title Transcription
バイヨウ シズイ サイボウ ニオケル テネイシン ノ ハツゲン ト キノウ ニ オヨボス セイチョウ インシ ノ エイキョウ
Author
Horibe, Masumi Department of Periodontology and Endodontology, Tokushima University School of Dentistry
Content Type
Thesis or Dissertation
Description
器官発生において上皮と間葉組織との相互作用は必須であり,その相互作用は発生段階で分泌される成長因子の作用を介した細胞外基質(ECM)の発現に依存して起こると考えられている。とりわけECM蛋白のうちテネイシン(TN)は細胞の接着機能を調節することにより組織の構築に関与している。歯髄の原形である歯胚の間葉組織においても発生段階でTNの発現が変動することが知られているが,成長因子によるTN
発現の変動に伴う機能調節やその機構に関する情報は少ない。本研究では,培養歯髄細胞におけるTNの発現および発現に及ぼす成長因子の影響を調べるとともに,細胞接着機能との関連ならびに成長因子による接着機能への影響も調べることによって,TNの歯髄組織における上皮間葉相互作用および形態形成における役割を検討した。
細胞はラット株化歯髄細胞RPC-C2A細胞を用いた。始めに, RPC-C2A細胞のin vitroにおける増殖動態を測定し,その結果をもとに以下の系に従って実験を行った。細胞
は10% FBS 添加 EMEM 培地で48時間培養し,無血清培地で12時間の前培養を行った後, 1% BSAを含む培地に成長因子を添加し,さらに24時間培養した。細胞刺激に用いた成長因子はtransforming growth factor β1(TGF-β),basic fibroblast growth factor(bFGF),epidermal growth factor (EGF),hepatocyte growth factor (HGF),retinoic acid(RA)とした。刺激した細胞からtotalRNAおよ蛋白を回収し,TNおよびフィブロネクチン(FN)mRNAの発現をRT-PCR法,またTN蛋白の発現をウェスタンブロット法にてそれぞれ調べた。さらに,成長因子の細胞接着に及ぼす影響を検討するために,細胞接着分析を行った。すなわち,成長因子で刺激した細胞をFNで表面処理した培養ディッシュに播種し,2時間後の接着細胞数を位相差顕微鏡観察により算出した。また,成長
因子で刺激した細胞を抗TN抗体(anti TN)に反応させてTNの機能を阻害した後,同様の実験を行った。TN mRNAの発現は,対照群に比べてTGF-β,HGF,RAで刺激した細胞では増強していたが,bFGF,EGFで刺激した細胞では変化がなかった。また,TN蛋白の発現もmRNAと同様の結果が得られた。FN mRNAの発現はどの成長因子で刺激しても変化はなかった。FNに対する接着細胞数はTGF-β,HGF,RA刺激で対
照群と比べて少なく,bFGF,EGFにおいては対照群とほぼ同数であった。すなわち,TGF-β,HGF,RA刺激した細胞では,TNの発現が亢進する一方で,細胞接着が阻害されていた。このことからTNが細胞接着を阻害している可能性が示された。さらに,anti TNで処理した場合,接着細胞数はいずれの成長因子で刺激した場合も一様にほぼ同数にまで回復した。これらの結果からTNがRPC-C2A細胞とFNの接着に対し
て阻害機能を有しており,抗体によってそれが遮蔽されることが明らかとなった。以上のことより,歯髄細胞のTN発現は成長因子により制御されており,歯髄組織においてTNはFNと拮抗して細胞接着を阻害し,成長因子によるTN発現の増減を介して細胞接着が調節されていることが示唆された。
Remark
画像データは国立国会図書館から提供(2012/3。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
FullText File
language
jpn
MEXT report number
甲第1157号
Diploma Number
甲歯第172号
Granted Date
2001-03-26
Degree Name
Doctor of Dental Science