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ID 85982
タイトルヨミ
ATR モード ト ヒョウメン ポラリトン ノ デンパン キョリ
著者
芝, 治也
資料タイプ
学位論文
抄録
金属-空気界面に局在し伝搬する,表面ポラリトン(SP)の伝搬特性を利
用した新しい光学素子が理論計算によって提案されているが,その実現の為に
必要不可欠なSP伝搬の基礎的な研究はほとんどなされていない。そこで本研
究では,銅-空気界面のSPの基本的な性質を全反射減衰(ATR)配置にお
けるSP特性の検討,伝搬距離の測定評価を行うことにより明らかにすること
を目的とした。
プリズム,金属,空気からなる3層構造のATR配置で,SPの分散計算を
行った結果,表面モード(SM),仮想モード(VM)の2解を得た。物理的
に意味のある解はVMであり,角度走査ATR信号との比較からATR信号は
VM特性を反映していることが明らかとなった。これにより分散計算解を使っ
てSP特性を評価することが可能になった。
銅蒸着試料でSPの伝搬距離Lを測定した。それと平行して,近赤外域での
多波長によるATR測定から銅の誘電率測定を行い,試料固有のプラズマ角周
波数ωpと電子緩和時間τを決定した。ωpとτから計算したLは直接測定値
と良く一致し, Lが誘電率で評価できることが明らかとなった。試料作製時の
蒸着速度制御によりτの蒸着速度依存性が発見され,蒸着速度が速くなるとτ
が大きな値となりLが長くなる結果となった。
平坦ガラス基板上に銅を蒸着した試料のLと,フッ化カルシウム下地膜上の
銅膜のSP伝搬距離L'の比較を行うと, L'はLに比べて短い値となり, L'
の減少割合はフッ化カルシウム膜厚の増加に伴い大きくなった。ガラス基板上
の試料の誘電率とフッ化カルシウム下地膜上のそれが異なることが明らかとな
り,LとL'の違いは下地膜の影響によって生じた誘電率変化で説明できた。
散乱光測定測定を行い,銅膜の表面凹凸を測定した結果,ガラス基板上の銅
膜のものに比べてフッ化カルシウム下地膜上の銅膜の凹凸は大きな値となった。
これがLに与える影響を理論計算によって検討したところ,赤外波長域(10.6
μm)で励起されるSPのLには影響しないが,可視光域(632.8nm)では主
たる減衰要因となり,Lは凹凸を考慮していないものと比較して1/3程度に減
少することが分かった。
これらにより試料誘電率の測定によるSPの伝搬距離評価方法が確立され,
SPの伝搬特性を決定ずけるものを明らかにできた。従って目的は達成できた。
発行日
1994-03
備考
画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
フルテキストファイル
言語
jpn
文科省報告番号
甲第679号
学位記番号
甲工第3号
学位授与年月日
1994-03-26
学位名
博士(工学)