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ID 95958
タイトルヨミ
スプロール シガイチ ニオケル チュウガイロ セイビ ケイカク ノ ヒョウカ ニ カンスル ケンキュウ
著者
三谷, 哲雄
資料タイプ
学位論文
抄録
都市基盤整備が不十分なまま虫食い状に市街化が進行しているスプロール市街
地では、道路環境や交通環境上の問題を引き起すとともに、無秩序な市街化をこ
のまま放置しておくと、建て詰まりやオープンスペースの不足といった住環境の
悪化や防災性の低下などの問題が懸念されている。これらの原因として、地区の
骨格街路の不在が指摘されているが、こうした街路整備の基本的「しくみ」すら
十分ではなく、そのことが一層無秩序な市街化の原因としてして指摘されてい
る。
このため、スプロール進行中あるいは進行の恐れのある市街地に対して、地区
の骨格的役割を果たす集散街路を先行的に計画し、各種規制・誘導手法によって
その整備を担保する「中街路計画」が提案されている。この計画は、「中街路」
を先行的に整備もしくは計画し、地区内の小規模開発をある程度コントロールす
ることで、秩序ある市街化を図ろうとするものである。しかしながら、中街路の
必要性や適正整備水準、整備費用の負担方法などが明確にされていないために、
中街路計画を進める有効な手段が用意されていないのが現状である。
そこで本研究では、スプロール市街地における中街路の具休的整備手法を検討
する一環として、中街路の必要性や整備水準、その整備水準に応じた費用負担の
あり方について検討するための中街路計画の評価の概念とその方法を提案すると
ともに、その評価を定量的、科学的に行うための技術的手法の開発を目的として
いる。また、それを実際のスプロール市街地における中街路警備計画評価に適用
することで、中街路の適正整備水準や費用負但のあり方およびその整備制度につ
いての知見を得ることを試みた。
まず第2章では、スプロール市街地の現状とその問題点を整理するとともに中
街路整備計画上の問題を考察した。そして、中街路計画を実現する上での課題を
整理することで、中街路整備による地区内街路網の定量的な評価の重要性を示し
た。
第3章では、こうした中街路計画や市街地街路網の評価を行う場合に重要な視
点となる街路の周辺市街地を考慮して、地区街路網を道路レベル、宅地レベルで
の定量的にかつ簡便な評価のできるネットワーク・ピクセルアレイ型の地理情報
システムを開発した。
第4章では、スプロール市街地の市街地環境を防災性に着目して、地区の抱え
る問題点を捉える手法を提案することで、市街化段階の違いや市街地形成、街路
形成がスプロール市街地における街路網の防災性に及ぼす影響を把握するとも
に、中街路の必要性を確認できた。
第5章では、スプロール市街地における地区の骨格的街路すなわち中街路が市
街地に及ぼす彫響を周辺市街地及び街路網環境の視点から実証的に分析すること
で、街路網を定量的に評価するためのモデルを開発した。
第6章では、これらのモデルを用いて中街路整備による周辺市街地や街路網環
境への影響を定量的に促えることで、整備効果やその空間分布を把握し中街路計
画を評価する方法を提案した。そして、幾つかの整備水準の中街路計画代替案に
ついて整備費用に対する効果の程度を比較することで適正な整備水準を明らかに
できた。
第7章では、中街路整備による開発利益を各主体別受益により計測すること
で、中街路整備計画を開発利益に着目して評価する方法を提案した。そして、中
街路整備が各主体別受益へ及ぼす影響や自治体による中街路整備の投資効果を検
討することで、費用負担のあり方や中街路の整備制度について重要な視点を明ら
かにできた。
第8章では、本研究の成果と問題点および残された課題についてまとめた。
発行日
1996-03
備考
画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
フルテキストファイル
言語
jpn
文科省報告番号
甲第815号
学位記番号
甲工第64号
学位授与年月日
1996-03-26
学位名
博士(工学)