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ID 96230
タイトルヨミ
シギ チドリ ルイ ノ セイソクチ カンリ ニ ムケタ コウイキ モニタリング データ ノ カツヨウ シュホウ ノ カイハツ
著者
荒木田, 葉月 徳島大学大学院先端技術科学教育部
キーワード
生息適地推定
湾ユニット
干潟
CCA
DPSIR
資料タイプ
学位論文
抄録
沿岸域における生態系の保全は国際的に重要な課題となっている。2010 年に開催された生物多様性条約第10 回締約国会議(CBD-COP10)では、海洋保護区の設定が主要な議題の一つとして議論された。2011 年には海洋生物多様性保全戦略が策定され、「生物多様性の保全上重要度の高い海域の抽出」や「海洋生物多様性への影響要因の解明とその軽減政策の遂行」等が重要な施策として位置づけられている。
しかしながら、国家スケールといった広域スケールにおいて、科学的手法に基づいた沿岸域の生息地区分、各生息地区分を評価するのに適した指標種の選定、生物多様性の高い重要海域の抽出等の手法は確立されていない。また、生息地に影響を与える人為的要因の抽出手法や、開発圧の広域評価手法も確立されていない。これらの手法を開発することは、保護区設定および生息地管理手法を検討する上で必要不可欠である。そこで本研究では、干潟の指標種として調査が行われてきたシギ・チドリ類を対象とし、本種の広域モニタリングデータを生息地の保全・管理に活用するための手法を開発した。
第1 章ではまず、シギ・チドリ類の生息地の区分および、各生息地区分に対する選好性の強い種を明らかにするための手法を開発した。これにより、日本の沿岸域は大きく、外洋に面した砂浜型の生息地と、閉鎖性海域に立地する干潟型の生息地に分けられることが明らかとなり、これに対応して上位捕食者であるシギ・チドリ類の鳥類相も大きく異なることが明らかとなった。第2 章では、干潟の生息適地を推定するため、干潟の立地を規定すると考えられる「湾」を自動抽出する手法を開発した。この手法により抽出したマルチスケールの「湾ユニット」を用いることで、シギ・チドリ類の多様性を保全する上で重要度の高い海域を、全国スケールという広域スケールにおいて、生息適地として抽出することが可能となった。
第3 章では、シギ・チドリ類の生息地に影響を及ぼす要因の抽出と構造化を行うための意見集約(Best Professional Judgement)の手法を開発した。これにより、影響要因を抽出した上で、要因の全体像をDPSIR モデルのような構造図として可視化することが可能となった。第4 章では、沿岸域の開発圧を広域評価するための手法を開発した。これにより、都市開発・農地開発の影響を強く受けてきた地域が明らかとなった。
これらの結果を元に、第5 章では、沿岸域における生息地保全・管理の方向性を検討するとともに、今後のモニタリング調査のあり方についての提言を行った。
本研究で開発した一連の手法は簡易的ではあるが、広域スケールにおいて沿岸域の生息地評価を行う上で非常に有効であることが明らかとなった。本研究の手法は干潟のみならず、沿岸域の多様な生息地評価に適用可能であると考えられる。
発行日
2012-03
備考
2014年4月8日謝辞修正
フルテキストファイル
言語
jpn
著者版フラグ
博士論文全文を含む
文科省報告番号
甲第2486号
学位記番号
甲先第117号
学位授与年月日
2012-03-23
学位名
博士(工学)
学位授与機関
徳島大学