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ID 96837
タイトルヨミ
ヒセンケイケイ ノ コウゾウ ニ モトズク ブンキ ゲンショウ ト カオス ノ カイセキ
著者
北島, 博之
資料タイプ
学位論文
抄録
本論文は,結合発振器系の分岐現象,余次元の高い分岐とカオス,分岐集合を求めるア
ルゴリズムについて述べている.結合発振器は指の協調運動,動物の歩行,睡眠・覚醒のリ
ズムなど,生物の様々なリズム現象を表すモデルとして広く用いられる.本論文では分岐理
論と対称性を用いて,それらの現象の起こるメカニズムを探る.
第3章では, 2個の発振器を抵抗で結合した系の解析結果を示す.n個の発振器を結合
した一般形を場合を考えるとき,発振器の個数が偶数であれば, 2個結合系の分岐構造を必
ず含むことより, 2個の結合系は結合系の最も基本であると考える.系にみられる対称性を
用いて,平衡点と周期解を分類する.それぞれの解の分岐集合を求めることにより,異なる
対称性をもつ平衡点と周期解がどのように遷移するのかを明らかにする.対称性のない周期
解が周期倍分岐の連鎖によりカオスへと至る遷移を観測したので示す.第4章では,発振器
を環状に一方向と双方向に結合した系の解析結果を示す.結合部分だけに着目すると,一方
向性結合では巡回群双方向性結合では2面体群をもっ.結合する発振器が平衡点のみをも
つ場合と,平衡点と周期解の両方をもつ場合にわけて考える.平衡点のみをもつ場合は,n
個の発振器を結合した一般形での平衡点の分岐構造を解析する.結果として,双方向性結合
では結合した系では発振は起こらず,一方向性結合ではHopf分岐によりn相周期解が生
じることを得た.単体の発振器が周期解をもつ場合では,周期解の分岐を調べるため,一般
形での解析が困難となる.従って発振器の個数を3個に限定して解析する. 2個結合の場合
と同様に対称性により平衡点と周期解を分類する.
第5章では余次元2の分岐の連鎖,余次元3の分岐の連鎖によるカオスへの遷移を解析
する. 一般的に高次元となる結合発振器系において,余次元1および2の分岐集合が互いに
交わる退化した現象は普遍的にみられる.本章ではこれらの現象がみられる最小次元系にお
いて,余次元2・3の分岐値付近での分岐構造を解析する.得られた結果は,結合発振器系
の解析に有用であると考える.
第6章では,分岐集合を数値計算により求める場合の自動追跡アルゴリズムを示す.接線
分岐集合または固定点多様体を求める場合,従来のアルゴリズムでは特異点において計算が
止まっていたが, 6. 1, 6. 2節のアルゴリズムを用いることにより,連続的に接線分岐集
合または固定点多様体を求めることが可能となる. Duffing方程式, Duffing-Rayleigh方程
式を用いてアルゴリズムの正当性および有用性を示した.
発行日
1998-03
備考
画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
フルテキストファイル
言語
jpn
文科省報告番号
甲第940号
学位記番号
甲工第113号
学位授与年月日
1998-03-26
学位名
博士(工学)