ID | 96862 |
タイトルヨミ | センカイシキ クレーン ノ ツリニ フレドメ セイギョ ニ カンスル ケンキュウ
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著者 |
多田, 博夫
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資料タイプ |
学位論文
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抄録 | 本論文において,旋回式クレーンの吊り荷振れ止め制御について研究報告した。
旋回式クレーンは機動力の高さから多岐に渡る荷役作業が実施可能であるが. これには運転操作に熟練 を要する。また,熟練操縦者不足やクレーン事故対策などから,吊り荷の振れを低減させる制御システム の実用化が望まれている。 第2章では,振れ止め制御に必要な吊り荷振れ角センサについて検討した。吊り荷の動揺によりブーム に加わる曲げモーメン卜が変動する。これをひずみゲージで測定後,FIRフィルタを用いて吊り荷振れ角 成分を抽出し,換算式により吊り荷振れ角を算出した。本章では.旋回作業時に発生する旋回方向の吊り 荷振れ角,およびブーム起伏作業時に発生する半径方向の吊り荷振れ角を計測する振れ角センサを提案し 実機クレーンを用いて検証した。この結果,センサ出力は吊り荷動揺量と良く一致したが,FIRフィルタ による時間遅れが生じた。このため,振れ止め制御システムにおいてセンサ出力の時間遅れを補正する必 要があることがわかった。 第3章では,実機を縮小したモデル実験装置と,クレーン機体および吊り荷挙動をシミュレーションす るための解析モデルを提案した。実験装置は,実機クレーンの性能を類推できる大きさと構造を持ち,一 般的作業である旋回,ブーム起伏,吊りロープ巻上げ動作を実機と同様に操作レバーを用いて操縦でき, 振れ止め制御成績と操縦者の操作フィーリングの検証を可能とした。また解析モデルにより,実機およ びモデル実験装置の吊り荷および機体挙動のシミュレーションを可能とした。 第4章では,最適レギュレータ理論を用いた状態フィードバック制御による旋回作業時の振れ止め制御 手法と,振れ角センサ出力の時間遅れ補正法を提案し,モデル実験装置および解析モデルを用いて,振れ 止め制御成績と操作フィーリングを調査した。目標速度に追従して旋回させる条件において,通常の旋回 操作では加速および減速直後に荷揺れが生じ,その後も持続しているが,振れ止め制御を行った場合には 良好な振れ止め制御成績が得られた。操作レバーで旋回動作を行う条件において,通常の旋回操作では細 かく操作レバーを動かし振れ止め操作と吊り荷の位置決め操作を行う必要があったが,振れ止め制御を 行った場合には,自動的に荷揺れが減少するため,容易に吊り荷を目標位置に静止させることが可能であ り,操作レバーへの追従性も良好であった。 第5章では,ファジィ理論を用いた旋回振れ止め制御手法と,振れ角センサ出力の時間遅れをファジィ ルールで補正する方法を提案した。実験および解析結果より,レギュレータ制御に比べ良好な制御成績と 操作フィーリングが得られた。また,2個のスケーリングファクタを調整することにより,操作レバーへ の追従性と振れ止め成績を容易に変更することが可能となり,作業条件の変化へも容易に対応できた。 第6章では,ブーム起伏作業時の振れ止め制御について,最適レギュレータ理論を用いた状態フィード バック制御による振れ止め制御手法と,振れ角センサ出力の時間遅れ補正法を提案した。実験および解析 結果より,旋回振れ止め制御と同様に良好な吊り荷振れ止め成績とレバー追従性が得られた。しかしブ ーム起伏作業は吊り荷の地上高さが変動するため.ブームの固有振動が増加する傾向となり,制御が不安 定になることがあった。この対策として,吊りロープ巻上げ操作をブーム起伏角度に連動させることによ り,制御系が安定する事が得られた。 第7章では,ファジィ理論を用いたブーム起伏作業時の振れ止め制御手法と,振れ角センサ出力の時間 遅れをファジィルールで補正する方法を提案した。実験および解析結果より,レギュレータ制御に比べ良 好な制御成績と操作フィーリングが得られた。また,容易に操作レバーへの追従性,吊り荷振れ止め成績 を調整することが可能であった。 以上の研究により,旋回式クレーンに適用可能な吊り荷振れ止め制御システムが構築でき,クレーン作 業の安全性および作業性の向上に貢献できると考える。 |
発行日 | 1999-11
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備考 | 画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
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フルテキストファイル | |
言語 |
jpn
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文科省報告番号 | 乙第1709号
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学位記番号 | 乙工第54号
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学位授与年月日 | 1999-11-12
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学位名 |
博士(工学)
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