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ID 96896
タイトルヨミ
デンシ リソース カツヨウガタ ニホンゴ ガクシュウ シエン システム ニ カンスル ケンキュウ
著者
越智, 洋司
資料タイプ
学位論文
抄録
近年,言語教育では学習者の習得過程や特性・個人差に関する研究が注目を浴び,
学習者の自律的学習支援が提唱されている.現在までに,様々な知的教育システム
が構築されているが,学習者の自律的学習を考慮したシステムは少ない.本論文で
は,学習者が日常の電子文書(電子リソース)を利用・読解しながら日本語学習を行
う形態に着目し,学習者が任意に選択した電子リソースを起点に自律的学習を支援
する教育システムの枠組みとその実装に関する研究を進めた.そして,学習者の自
律的学習を支援する学習環境として,電子リソース活用型学習環境を提案する.本
学習環境は,リソース読解環境と探索学習環境で構成し,リソース読解環境として“
漢字学習環境JUPITER”,探索学習環境として“漢字熟語辞書KIDS-II”,“擬音語・
擬態語辞書JAMIOS”を試作した.
JUPITERでは,学習者の電子リソースをブラウジングする過程から学習ニーズ
を推定し,電子リソース中の学習漢字を選定する機能を実現した.本手法は,従来
手法よりも詳細に漢字を選定できる結果を得た. KIDS-IIでは,学習者に対する漢
字熟語の類推支援を目的に,漢字熟語の構造に着目した構成規則を考察し,生起頻
度を付加した熟語の意味・読み候補を導出する機能を実装した.未登録の漢字熟語
についても,候補の導出が可能であり,生起頻度も正答に近い結果を導出できる結
果を得た. JAMIOSでは,擬音語・擬態語の特徴および使用状況にもとづき,様々
な視点から連想検索できる機能を実現した.留学生を対象に,本システムの試用評
価を行ったところ,既存の辞書と比べて適切な検索が容易であり,学習効果のある
実用的なシステムとして機能したという結果を得た.
本論文は以下のように構成する.まず,2章では日本語教育で提唱されている「リ
ソース型教材」について述べ, 日本語教育から見た本論文の位置づけを明確にする.
3章では,知的教育システムの研究における本研究の位置づけについて述べ, 4章で
は,本論文のアプローチである電子リソース活用型学習環境の枠組みと試作システ
ムの構成について述べる.5章では, JUPITERの漢字選定フィルタリング機能の必
要性と,そのモデルおよび実装方法についてを述べる. 6章では, KIDS-IIにおけ
る意味・読み候補導出機能の必要性とその導出モデルおよび実装について述べる. 7
章では,JAMIOSにおける擬音語擬態語の連想検索機能の必要性とそのモデル実装
について述べる. 8章では,5,6,7章で実装した各システムの学習支援機能に関す
る実験的評価と考察について述べる. 9章では, 8章までの研究成果をまとめ,今後
の展望について述べる.
発行日
1999-03
備考
画像データは国立国会図書館から提供(2012/3。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
フルテキストファイル
言語
jpn
文科省報告番号
甲第1022号
学位記番号
甲工第140号
学位授与年月日
1999-03-26
学位名
博士(工学)