ID | 96871 |
タイトルヨミ | セイタイ インピーダンス ニヨル ソシキ コウゾウ ノ スイテイ ニ カンスル ケンキュウ
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著者 |
國井, 洋臣
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資料タイプ |
学位論文
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抄録 | 生体組織のβ分散周波数領域における電気インピーダンスは組織構造を反映し,
細胞内外に由来する特性を分離して表すことができる. 従って,生体インピーダン ス情報は組織の構造的および生理機能的診断に役立つことが期待されている. この組織インピーダンスの周波数特性は通常,有限個のパラメータを含む式で表 現されるが,これは一種の情報圧縮と見なすことができる. 最も代表的なものが Cole-Cole円弧則とDavidson-Coleレムニスケイト円弧則であり,これは組織の緩和時間 の確率的な分布を考慮したもので,4つのパラメータを用いて表している. 前述の 2つの円弧則は簡単な形でβ分散の広い範囲の組織インピーダンスを表現するのに 有効であるが,生体組織の平均的な特性だけを表すため,異なる2つ以上の組織を 含む場合,それらの特性を分離して表現することは困難である.一方,集中定数回 路は組織構造との対応ができるという利点を有しているが,3パラメータ等価回路 は1つの緩和時間しか持っていないことや組織インピーダンスの部分特性,例えば 低周波領域のみに適合する. そこで本研究では,対象とする組織が異質な多層組織 の場合,緩和時間の確率的な分布の山が明らかに2つ以上存在することを想定して, 組織構造との対応が可能で, かつ,β分散領域全体のインピーダンス特性に適合可 能と思われる高次集中定数等価回路に着目した. 実測データに含まれる緩和時間の確率的な分布の山の数は必ずしも分かっている 訳ではなく,仮に等価回路の次数の方が低い場合は情報の圧縮になり,等価的な妥 協値で組織を代表することになる. 与えられたインピーダンス特性に最小誤差で適 合するように回路パラメータを決定する問題は逆問題の一種であるが,3パラメー タ等価回路ではこれを代数的に解くことができる. しかしながら, 2つ以上の緩和 時間を持つ高次回路ではパラメータとインピーダンス値は非線形関係にあるため, この方法を適用することはできず, 勾配法などの収束計算を用いなければならない. ここではパラメータ空間におけるインピーダンス誤差関数局面が最小値近傍で緩や かな特性(鍋底)を持っていることを考慮し,Levenberg-Marquardtアルゴリズム(以 下,LMアルゴリズムと略す)を基本に,これを単純化した方法を用いた. 本研究では組織インピーダンス特性を表す代表的な回路モデルとなる2~3の緩 和時間を持つ4~6パラメータ等価回路を取り上げている. 研究の目的は与えられ たインピーダンスデータからこれらのパラメータ推定の可能性を検討し,実測デー タに適用して,その有効性を検証することである. |
発行日 | 2000-03
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備考 | 画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
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フルテキストファイル | |
言語 |
jpn
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文科省報告番号 | 甲第1114号
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学位記番号 | 甲工第169号
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学位授与年月日 | 2000-03-26
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学位名 |
博士(工学)
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