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ID 95708
タイトルヨミ
ニサンカ タンソ ノ デンキ カガクテキ オヨビ セイブツガクテキ シゲンカ ニ カンスル ケンキュウ
著者
小松, 精二
資料タイプ
学位論文
抄録
地球温暖化の主要因として注目されているCO2を資源化するため、電気化
学的および生物学的な研究を行った。
電気化学的手法として、これまで検討されなかったSb及びBi電極を用い
て水溶液中におけるCO2の電解還元を行った結果、Sb電極はCO2の還元能
力を持たないが、Bi電極はギ酸と微量のcoに還元でき、その還元電流効率
は、市販のデイスク電極よりもメッキにより得られるBi電極の方が優れ、か
つメッキに用いた基板の種類も大きく影響することを見出した。例えば市販の
BiディスクにBiメッキした電極及びグラッシーカーボンにBiメッキした
電極では、それぞれ80%、100%の電流効率でギ酸が得られた。さらに還
元電流効率には、電極表面のラフネスファクターよりも表面の純度や粒子の大
きさが重要な役割を果たすことも分かった。
火力発電所排ガス中のCO2を直接気相状態で電解還元できれば、例えば回
収装置が不要になり、設備面で効率的と考えられる。そこで固体高分子電解質
(SPE)であるイオン交換膜上に金属を接合一体化させたCu-SPE電極を用いて
CO2の気相電解還元を検討した。カチオン交換膜としてNafionを、アニオン
交換膜としてSelemionを用いて電極の作製方法を種々検討した結果、銅ロッ
シェル塩(メッキ液)とNaBH4(還元液) を組み合わせた新しい化学メッキ法
が最適であることを見出し、膜~銅間の密着性に優れた直径30cm以上の
Cu-SPE電極を再現性良く得ることができた。Cu-Nafion 及びCu-Selemion電極
を用いて気相電解還元した結果、それぞれ19%、27%のCO2還元電流効
率を得た。主生成物は前者がC2H4で、後者がギ酸及びCOであり、イオン交
換膜の種類により主生成物が異なるという興味ある結果を得た。また、長時間
の電解還元におけるCO2還元電流効率は、従来の水溶液中における銅電極の
場合よりも著しく安定で、Cu-SPE電極を用いた電解法は、優れていることが分
かった。Cu-Nafion電極を用いて排ガスの気相電解還元に及ぼすCO2濃度や不
純物の影響を調べた結果、C2H4を効率的に生成するには排ガスの2倍以上の
濃縮と、SO2の除去が必要であることを見出した。
CO2を用いたカルボン酸の電解合成として、含フッ素不飽和スルホキシド、
l-fluoro-2-(4-biphenylyl)vinyl phenyl sulphoxideの電解還元カルボキシル
化を試みた。その結果、CO2とフェニルスルフィニル基の置換が生じ、含フ
ッ素不飽和脂肪酸、2-fluoro-3-(4-biphenylyl)-propenoic acid が得られた。
このような電解還元置換型カルボキシル化の例は少なく、合成化学上、興味あ
る反応例である。
光合成を利用した生物学的な資源化の研究として、四国特産のスジアオノリ
にCO2を固定するための屋外培養実験を行った。その結果スジアオノリの最
適培養条件として、全天平均日射量が10~15 MJ m-2 day-1、CO2
供給量が約40g-C h-1 x2h day-1であることを明らかにするととも
に、CO2を供給しない場合に比べて生長速度を約1. 6倍高くすることができ
た。これをもとに四国でスジアオノリを培養した場合の年間CO2固定量を推
定すると、微細藻類や陸上植物とほぼ同等以上の2kg-C m-2であることが
示された。
発行日
1995-03
備考
画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
フルテキストファイル
言語
jpn
文科省報告番号
甲第755号
学位記番号
甲工第33号
学位授与年月日
1995-03-26
学位名
博士(工学)