ID | 96868 |
タイトルヨミ | デンシ ビーム プラズマケイ ニ ハッセイ スル ハドウ ゲンショウ ト フアンテイセイ
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著者 |
森本, 敏文
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資料タイプ |
学位論文
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抄録 | 本研究は,電子ビーム・プラズマ系に於いて,その放電開始前に発生する波動の性質とその由来を,
Trivelpice-Gould(T-G)モードの解析及びそれを裏付けるための実験から調査し,電子ビーム・プラズマ 放電機構を明らかにするものである。また,その波動を非線形理論で扱う場合の方針を定めようとするも のである。 希薄気体中(~1O⁻⁴Torr) に電子ビームを注入すると,完全電離に近い,強い高周波放電が起きる。そ の原因は,電子ビームが軌道中の気体を衝突電離して作る薄いプラズマと電子ビーム自体とで構成され る電子ビーム・プラズマ系の不安定相互作用にある。現在,この強い放電を起こすのは,大局的には,電 子サイクロトロン波であるとの考えが一般に認められている。しかし,強い放電だけでなく,その前に 励起される波動が完全に解明されたかといえばそうでもない。本研究では,まず,電子ビーム・プラズマ 系の波動成長率を求めるために,T-Gモードの分散関係式を複素数で計算した。これまで,この分散関 係式は実数計算しかなされていない。今回の計算からは,(1)プラズマ密度が低いときは,Slow Space Charge Wave (S.S.C.W.)に励起される右回り偏波モード(高域混成波)の成長率が大きく, (2) プラズ マ密度が中程度のときは,Slow Cyclotron Waveに励起される右回り,左回り,軸対称偏波モード(高域 混成波)の各成長率が同程度で大きく,(3)プラズマ密度が高いときは, S.S.C.W に励起される軸対称 モードの成長率が大きいということが分かった。 次に,電子ビーム・プラズマ系の励起波動を実験から詳しく調査した。最近のディジタル計測機器の発 達により,改めて,励起波動を調べ直すことは意味がある。すなわち,強い放電前の励起波動はバースト 波であり,個々の成分波を調べなければ本質の分かりづらい面がある。また,偏波はほとんど議論されて いない。電子ビーム・プラズマ系の状態は相互作用の程度に応じて三つの段階があるが,実験の結果,第 一段階(相互作用弱)では,右回り偏波の定在バースト波が励起される。第二段階(相互作用中程度)で は二種類の波動が励起される。一つは右回り波の進行バースト波で,もう一つは右回り,左回り,軸対称 波が入り交じった(進行)バースト波である。第三段階(相互作用強)は,高周波のため,周波数スペク トル調査のみであるが,非線形性の強い二種類の波動の存在を確認した。ここで,先のT-Gモードの分 散関係式と比較検討すると,強い放電開始前に現れる二つの波動を(1),(2) のモードと仮定するなら, 実験事実をすべて矛盾なく説明でき,また,強い放電の引き金になる波動は,(3) のモードであること がほぼ確実となった。 さて,電子ビーム・プラズマ放電の引き金となる波動は線形性理論である程度予測できたが,しかし, 放電直前には,非線形現象が現れており,これを説明する必要がある。そこで,境界条件は考慮しないが, 非線形理論の一つである繰り込み手法を電子ビーム・プラズマ系に適用したところ,高域混成波の波形 を導出することができた。また,この筋道で,イオン波との相互作用が重要ということから,電子ビーム を打ち込んだイオン波の力学モデルが,結晶(鉄)に原子(ヘリウム)を打ち込んだときと同じになると いうことで,その数値計算を行った。その結果,イオン波についての性質を調べるにはまだ至っていない が,これまでに計算で得られているエネルギー以下で格子欠陥が可能ということを得た。 |
発行日 | 2000-03
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備考 | 画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
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フルテキストファイル | |
言語 |
jpn
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文科省報告番号 | 乙第1746号
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学位記番号 | 乙工第58号
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学位授与年月日 | 2000-05-12
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学位名 |
博士(工学)
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