ID | 96858 |
タイトルヨミ | フウリョク ハツデン システム ノ トクセイ カイセキ ト シュツリョク セイギョホウ ニ カンスル ケンキュウ
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著者 |
田中, 達治
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資料タイプ |
学位論文
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抄録 | 地球温暖化問題に見られるように,近年自然エネルギーに関心が寄せられている。風
エネルギーは比較的どこでも手に入れることができるが,その不規則性のため安定した エネルギー源としては期待できない。しかし,効率よく風エネルギーを電気エネルギー に変換する制御法を開発することによって,有効なエネルギー源として利用することが 可能になる。本研究では風力発電装置を,負荷も含んだシステムと考えて,特性解析を 行い,それに基づいて,風エネルギーを電気エネルギーに効率良く変換する制御法につ いて研究したものである。 まず,想定したモデルを解析し,風エネルギーによって風車トルクが発生し,そのト ルクが発電機に伝達され電気エネルギーに変換される過程を方程式で表した。その方程 式を解くことによって,入力された風に対して最大出力が得られるように,制御するこ とが可能になる。 最初の制御法は,システム定数が全て既知である場合の制御法で,風速及び風車速度 を測定することによって,静特性から計算された最大出力が得られる値に負荷や界磁 電流を制御していく方法である。この方法では,風速や風車速度を正確に測定する必要 があるが,制御しない場合に比較して多くのエネルギーを取り出すことができ,制御法 が有効であることを確認した。 しかし,実際には風車受風面の風速を知ることは困難であり,また慣性による制御遅 れなどの影響によって,この制御法には限界があると考えられる。そこでシステムパラ メータが不明であっても,制御量と出力の変化を検出しながら最大出力に制御していく 適応制御法の1つである山登り法を提案した。そして,シミュレーションによって,山 登り法が有効であることを確認した。 次に,システムの非線形を考慮して制御できる,ファジィ制御について検討した。ファ ジィ制御法を適用することによって,測定した風速及び風車速度の評価や,その推論過 程と推論結果に曖昧さを含ませることができ効率よくエネルギーを取り出せる範囲が 広くなることが期待される。風速及び風車速度を計測し,その条件においてファジィ推 論を用いて,最適なバッテリー電圧を推論し,制御する方法を提案した。そして,メン バシップ関数及び制御ルールを決定し,シミュレーションを行った結果,制御法の有効 性を確認した。 最後に複数の風力発電システムを平行運転する場合の制御法の検討を行った。それは 風の条件が少々悪くても発電するために,異なった特性を持つ小型の発電設備を2つ設 置し,効率よく運転するための制御法を検討した。まず,それぞれの発電装置がどのよ うな制御特性を持っているかを調べ,次にそれぞれの装置について種々の制御法を適用 し,その特性を解析した。そして,その長所を組み合わせた制御法を提案し,シミュレー ションによりその有効性を確認した。 以上,風力発電システムの特性解析と出力制御法について検討を行ってきた。その結 果,風力発電システムにおいて,風速や風車速度が決まるとその状態において最大出力 が得られる制御条件が存在し,それにしたがって制御することによってより多くのエネ ルギーが取り出せることが明らかになった。また,そのための種々の制御法を提案し,い ずれの制御法においても制御効果が見られ,制御しないものに比べて多くのエネルギー が取り出せることが明らかになった。 |
発行日 | 1998-04
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備考 | 画像データは国立国会図書館から提供(2011/9/26。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
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フルテキストファイル | |
言語 |
jpn
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文科省報告番号 | 乙第1621号
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学位記番号 | 乙工第44号
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学位授与年月日 | 1998-05-15
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学位名 |
博士(工学)
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