プレコンセプションケアの観点からみた子宮腺筋症合併妊娠6症例の後方視的検討

近年，晩婚による妊婦の高齢化，不妊治療の発展に伴い，子宮腺筋症合併妊娠は増加することが予想される．挙児希望時の治療法や妊娠時の管理について有効な方針は確立していない．そこで，子宮腺筋症合併妊娠の周産期予後を解析し，プレコンセプションケアの重要性について検討した．当院で2016年から2018年の3年間に初診受診した不妊治療希望患者のうち，妊娠に至った子宮腺筋症6症例について検討を行った．今回の検討では，腺筋症群の6例中5例が切迫流早産となり，最終的には2例が後期流産，4例が早産となった．子宮腺筋症合併妊娠の周産期予後は不良であること，および生殖年齢の女性に対してこれらの情報を積極的に提供し，プレコンセプションケアとして早期診断，早期介入をはかる活動が必要と考えられた．また，妊娠を希望する以前からの介入の効果や，腺筋症のサイズやタイプごとの周産期予後について，より詳細かつ大規模な検討が必要であると考えられた．