ID | 96894 |
タイトルヨミ | バイヨウ ラット ジカセン デノ ダエキ ブンピツ ソクシンザイ ニヨル オルニチン ダツタンサン コウソ カッセイ ノ チョウセツ ニ カンスル ケンキュウ
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著者 | |
資料タイプ |
学位論文
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抄録 | 種々の唾液分泌促進剤は耳下腺での唾液分泌促進に加え、細胞増殖促進作用がある。
ラット耳下腺cxplantの培養系を用いて、これまでにβ-adrenergic agonistのisoproterenol (IPR)やcholinergic agonistのcarbachol(CC)が、増殖に必須なポリアミンの合成律速酵素 であるオルニチン脱炭酸酵素(ODC)の活性を上昇させ、DNA合成を促進することが報 告されている。一方、ODCはこれらアゴニストのみならず低浸透圧下でも著名な誘導を 受けることが知られている。この低張による誘導はIPRとは相乗効果を示すのに反し、 CCによって強く抑制された。また、CCはIPRによる誘導をも抑制した。そこで本研究 では、このCCの抑制作用を中心に唾液腺でのODC調節機構について検討した。 [方法] 199培地上に浮かべたシリコナイズしたレンズペーパー上でラット耳下腺cxplant (1-2mg)を培養した。低張培地にはNaCl濃度のみを半減した浸透圧が約40%低い199培地 を用いた。分泌能はアゴニスト添加2時間後の培地中のアミラーゼ活性で測定し、ODC 活性は4-6時間後に測定した。ODCのmRNAとタンパク質の定量はそれぞれNorthern blot 法とWestern blot法で行った。また、細胞内Ca2+濃度([Ca²⁺]i)はトリプシンとコラゲナ ーゼを用いて調製したラット耳下腺腺房細胞に、Fura2-AMをとりこませ、ARGUS50 (浜松ホトニクス)にて測定した。cAMPレベルは、cAMP kit「ヤマサ」(ヤマサ醤油)に て測定した。 [結果] 1) ODC活性は等張培地でIPRによって約29倍上昇するが、この上昇はCCで70%も抑制 された。この時、CCはIPRによるcAMPレベルの上昇には影響を及ぼさなかった。ま た低張培地でODC活性は6時間後に約100倍の最大活性に達し、IPRはこれを3倍に増強 したのに反し、CCは1/3に抑制した。 2) アゴニストや低張によるODC誘導では活性とmRNAおよび蛋白質量はほぼ比例し た。ただ、例外として低張でのCCのODC活性の抑制ではmRNAの低下は見られな かった。 3) IPRや低張によるODC誘導でのCCの抑制はODC蛋白質の半減期の短縮によるもので はない。 4) 小胞体のCa²⁺依存性ATPaseを抑制するthapsigarginは、CCと同様にODC活性低下作 用を示すが、[Ca²⁺]iを低下させるBAPTA-AMはCCのODC活性抑制作用を弱めた。 5) 耳下腺腺房細胞の[Ca²⁺]iはCCとthapsigarginでそれぞれ周期的および一過性の上昇を 示した。 6) 腺房細胞の[Ca²⁺]iは低張培地で持続的上昇を示した。 7) ODC誘導と異なりアミラーゼ [結論] 耳下腺での唾液分泌促進とODC誘導は異なる機構によって制御されていることが示唆 された。ODCの誘導は、その誘導因子の種類に関係なく[Ca²⁺]iと関連し、その上昇は ODC誘導を翻訳レベルで抑制すると考えられる。 |
備考 | 画像データは国立国会図書館から提供(2012/3。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
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フルテキストファイル | |
言語 |
jpn
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文科省報告番号 | 甲第910号
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学位記番号 | 甲歯第120号
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学位授与年月日 | 1998-03-26
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学位名 |
博士(歯学)
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部局 |
歯学系
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