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ID 96884
タイトルヨミ
シシュウ ビョウゲンセイ サイキン Eikenella corrodens ノ フチャク インシ フクゴウタイ オ コウセイスル タンパクシツ ノ ブンシ セイブツガクテキ カイセキ
著者
資料タイプ
学位論文
抄録
Eikenella corrodens 1073は、菌体表層にN-アセチル-D-ガ
ラクトサミンに特異的なレクチン様付着因子(EcLS)を有し、これ
を介して様々な宿主細胞表面に付着する。本研究では、EcLSを構
成する2種類の蛋白質をコードする遺伝子をクローニングした。
EcLSは、還元条件下でのSDS-PAGE解析により、約300kDaと
45kDaの蛋白質に分離した。初めに、この45kDa蛋白質をコード
する遺伝子(porA)をPCRおよびサザンハイブリダイゼーションに
よりクローニングした。これを発現ベクタ-pET22 b(+)にリクロ
ーニングし、T7発現システムを用いてporA遺伝子産物を誘導発現
させた。そして、発現した45kDa蛋白質を封入体様の不溶性画分
から可溶化した後、精製した。このクローン化断片のDNA塩基配
列を決定し、一つのオープンリーデイングフレーム(0RF)を発見
した。このORFは、990塩基対から成り、330アミノ酸のポリペプ
チド(分子量:35,748)をコードしていた。DNA塩基配列から予
想されるアミノ酸配列は、様々な病原活性を示すことが知られてい
るNeisseria属のporin蛋白質のアミノ酸配列と高い相向性を認め
た。また、porA遺伝子はゲノミックサザンハイブリダイゼーショ
ンにより、E. corrodens内で1073株に特異的に認められた。
次に、E. coli JM109に導入したE. corrodens 1073染色体
DNAライブラリーから、抗EcLSモノクローナル抗体に特異的に反
応する蛋白質をコードする遺伝子をクローニングした。このクロー
ンは3種類(約60kDa,25kDa,10kDa)のEikenella由来の蛋白
質を発現していたが、このうち25kDa蛋白質のみがイムノブロッ
ト解析より抗EcLSモノクローナル抗体に特異的に反応した。この
クローン化断片の欠失解析を行い、25kDa蛋白質発現に必要な領
域を特定し、その領域のDNA塩基配列を決定した。その結果、一
つのORFが見つかり、このORFは678塩基対から成り、226アミ
ノ酸のポリペプチド(分子量:24,586) をコードしていることが
明らかとなった。DNA塩基配列から予想されるアミノ酸配列は、
データベース中の既知の蛋白質との相向性は認められなかった。発
現した25kDa蛋白質を封入体様の不溶性画分から可溶化した後、
精製した。この精製蛋白質のN末端のアミノ酸配列およびハイドロ
パシー解析から、この25kDa蛋白質は外膜結合型蛋白質であるこ
とが示唆された。
本研究結果より、E. corrodens 1073からクローニングされた
45kDaおよび25kDa蛋白質は、ともに外膜上でEcLS複合体を構成
する蛋由貿であり、さらに1) 45kDa蛋白質はレクチン様付着因子
本体を菌体表層に固定化するほか、主要抗原および歯周病原性因子
として機能する可能性があること、2) 25kDa蛋白質はEcLS複合
体のマイナーサプユニットで、レクチン様付着因子本体に近接して
局在する外膜結合型蛋白質であること、が示唆された。
備考
画像データは国立国会図書館から提供(2012/3。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
フルテキストファイル
言語
jpn
文科省報告番号
甲第795号
学位記番号
甲歯第98号
学位授与年月日
1996-03-26
学位名
博士(歯学)
部局
病院