ID | 96876 |
タイトルヨミ | ハコツ サイボウ ノ ケイセイ ト カッセイ ニ オヨボス Transforming growth facto-β₁ ノ エイキョウ ニツイテ
|
著者 |
上岡, 寛
徳島大学大学院歯学研究科歯科矯正学講座
|
資料タイプ |
学位論文
|
抄録 | Transforming growth factor-β1 (以下TGF-Blと略記する) は、各種細胞の分化、増殖
を調節する多機能な性格を備えたサイトカインである。しかし、破骨細胞の分化、形成 に対するこのサイトカインの役割はいまだに明らかになっていない。 そこで、TGF-β1の破骨細胞による骨吸収に対する影響を調べるため、新生マウス長管 骨より採取した骨組織中の全ての細胞(以下、全前骨細胞と略記する)を象牙片上で培 養した。TGF-β1は0.04-5ng/mlの濃度で、破骨細胞による骨吸収を抑制することがわかっ た。電子顕微鏡による観察では、ミトコンドリアが減少し、液状縁、明帯の形成が弱い ことからも破骨細胞の骨吸収活性の低下が示唆された。 全骨細胞を用いた破骨細胞形成系では、10-8Mの1,1.25-dihydroxyvitamin D3 [以下、1. 25-(OII) 2D3と略記する]とともにTGF-β1を添加すると0.2-1 ng/mlの濃度で破骨細胞形成 を促進することがわかった。次に破骨細胞の形成過程に異種細胞の混入を除いた血液芽 球細胞からの破骨細胞形成系を用いてTGF-β1の破骨細胞形成に対する直接作用について 検討した。意外なことにTGF-β1は、0.2ng/mlより高濃度の群において破骨細胞形成を 抑制した。 近年、破骨細胞の形成には、骨芽細胞が関与していると報告されている。そこで骨芽 細胞を介した間接的な影響を検討するために、骨芽細胞として骨芽細胞様細胞MC3T3-El 細胞を用い、この細胞を1ng/mlのTGF-β1で処理した後に得られる培養上清、細胞外基 質の塩化ナトリウム抽出液を用いて破骨細胞に対する影響を検討したところ、10-8Mの1, 25-(OII)2D3共存下で破骨細胞形成を促進した。 これらのことから、TGF-β1は破骨細胞の活性に対しては、抑制を示す。しかし、破骨 細胞形成に対しては、直接、破骨細胞の形成を抑制するが、間接的には骨芽細胞を介し て促進することが示唆された。 |
備考 | 画像データは国立国会図書館から提供(2012/3。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
|
フルテキストファイル | |
言語 |
jpn
|
文科省報告番号 | 甲第641号
|
学位記番号 | 甲歯第68号
|
学位授与年月日 | 1993-03-26
|
学位名 |
博士(歯学)
|