ID | 96889 |
タイトルヨミ | コツガ サイボウ カラ コツサイボウ エノ ブンカ ニ トモナウ カルシウム カンジュセイ レセプター ノ ハツゲン
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著者 |
三木, 善樹
徳島大学大学院歯学研究科歯科矯正学講座
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資料タイプ |
学位論文
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抄録 | 歯科矯正治療において、骨整形力および歯の移動に伴い骨の吸収と形成、すなわ
ち、リモデリングが行われている。骨を構成する細胞には、主として骨吸収に関わる破骨 細胞、骨形成に関わる骨芽細胞、自ら形成した骨基質に埋め込まれた骨細胞の3種がある。 中でも骨細胞は骨組織を構成する細胞中で最も数が多く、多くの突起を伸ばして他の骨細 胞や骨表面の骨芽細胞、破骨細胞とギャップジャンクションを介して細胞間ネットワーク を形成し、外界の変化を察知できる状態にある。現在までのところ、そのシグナル物質と して細胞内カルシウム(Cai)が重要な役割を果たしていると考えられ、骨表面の骨吸収部位 での情報を骨細胞が骨深部へ伝達する役割をもつ可能性が示唆されている。一方、骨細胞 は骨芽細胞より分化するが、分化に伴い細胞小器官の消失、核対細胞質比率の増加等の形 態的変化をすることは知られている。しかし、分化に伴う骨細胞の機能的な変化はほとん ど不明である。 本研究では、新生仔ラット頭蓋冠をコラゲナーゼおよびキレート剤にて処理し、骨細胞 の分化段階の異なる6つの分画を得、分化に伴う骨細胞の機能について検討した。 【方法】骨系細胞は新生仔ラット頭蓋骨よりまずコラゲナーゼにて分画Iから分画Ⅳを、 次にEDTAにて分画Ⅴを、最後に再びコラゲナーゼにて分画Ⅵを得た。単離した各分画の 細胞はglass-bottomed culture dish 内で2%FBSを含むα-MEMを加えて培養した後、細胞内 カルシウムインジケーターであるIndo-1AMを取り込ませ、ACAS570にてCaiの経時的変化 を追った。また、分化の指標としてアルカリフォスファターゼ(ALPase) 活性、オステオ カルシン遺伝子の発現を調べた。さらにCaiの上昇の機序を検討するために分画Ⅵの細胞 のカルシウムチャンネルモジュレーターによる影響、カルシウム感受性レセプター遺伝子 の発現を調べた。 【結果および結論】 1)分画Ⅰの細胞は細長く、紡錘形をしており、線維芽細胞と思われる形態をしていた。 分画Ⅱから分画Ⅳの細胞は星状あるいは多角形をしており、骨芽細胞と思われる形態 をしていた。分画Ⅵの細胞は大きさが小さく、細胞突起を多数出しており、成熟した 骨細胞と思われる形態をしていた。 2)骨芽細胞の分化のマーカーであるALPase活性、オステオカルシン遺伝子の発現は分画 Ⅲで最も高く、骨芽細胞の性質を示した。 3)細胞外カルシウム(Cae)の上昇に対する感受性は分化に伴って上昇し、分画Ⅵが最も 高かった。 4)分画Ⅵの細胞はCaeの濃度に依存して即時的にCaiが上昇し、1.0mM以上の濃度より観 察された。この上昇は膜脱分極や電位依存性カルシウムチャンネルに依存しなかった。 5)分画Ⅵの細胞にカルシウム感受性レセプター遺伝子の発現がみられた。 以上の結果より、ラット骨芽細胞から骨細胞への分化に伴いカルシウム感受性レセプタ ーが発現し、Caeの変化に応答することが明らかとなった。 |
備考 | 画像データは国立国会図書館から提供(2012/3。JPEG2000形式を本学でpdfに変換して公開)
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フルテキストファイル | |
言語 |
jpn
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文科省報告番号 | 甲第857号
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学位記番号 | 甲歯第118号
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学位授与年月日 | 1997-03-26
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学位名 |
博士(歯学)
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