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ID 117950
タイトル別表記
Long-term retention of two non-extraction cases treated with total arch distalization using Temporary Anchorage Devices(TADs)
著者
比嘉, 佳基 徳島大学
三井, なおみ 徳島大学
キーワード
Temporary Anchorage Devices(TADs)
非抜歯遠心移動
長期安定性
資料タイプ
学術雑誌論文
抄録
今回,我々はTemporary Anchorage Devices(TADs)を用いて上下顎歯列全体の遠心移動による非抜歯治療を遂行し,保定後5年以上の経過時においても安定した咬合関係が維持された2症例を経験したので報告する.
症例1は,初診時年齢29歳の女性で,開咬を主訴として来院した.口腔内所見は,overjet -1.0mm,overbite -1.0mmで,上下顎歯列正中の不一致を認めた.アーチレングスディスクレパンシーは上顎 -0.5mm,下顎 -2.0mmであり,臼歯関係は右側Angle Ⅰ級,左側Angle Ⅲ級であった.側面頭部エックス線規格写真分析の結果,∠ANB 3.9°よりskeletal Class I,FMA 33.6°よりhigh mandibular plane angleであり,口唇突出感のある前歯部開咬を伴う歯性上下顎前突と診断された.上顎両側臼歯部頬側歯槽部に歯科矯正用アンカースクリューを,下顎両側大臼歯部にアンカープレートを植立し,マルチブラケット装置を装着した後,歯列全体の遠心移動により咬合を確立した.
症例2は,初診時年齢60歳の女性で,下顎前歯部の叢生を主訴として来院した.口腔内所見は,overjet +6.0mm,overbite +1.5mmで,アーチレングスディスクレパンシーは上顎 -2.5mm,下顎 -6.0mmであり,両側第一小臼歯は鋏状咬合を呈し,臼歯関係は両側Angle Ⅰ級であった.側面頭部エックス線規格写真分析の結果,∠ANB 4.4°よりskeletal Class I,FMA 26.1°よりlow mandibular plane angleであり,口唇突出感のある叢生を伴う歯性上顎前突と診断された.上下顎両側臼歯部頬側歯槽部に歯科矯正用アンカースクリューを植立後,上下顎とも臼歯部の遠心移動を先行させ,前歯部の排列スペースを確保した後,上下顎歯列全体の遠心移動を行うことで咬合を確立した.
TADsを固定源にマルチブラケット装置を用い,上下顎歯列全体の遠心移動による咬合確立を行った2症例であるが,それぞれ保定7年10か月,5年7か月経過後も安定した咬合が維持されていた.従来であれば抜歯治療の適用となる症例であったが,TADsを用いた歯列全体の遠心移動により非抜歯にて適切な咬合が獲得でき,長期的安定性も得られることが示唆された.
掲載誌名
中・四国矯正歯科学会雑誌
ISSN
09157581
cat書誌ID
AN1037147X
出版者
中・四国矯正歯科学会
33
1
開始ページ
59
終了ページ
68
発行日
2021
EDB ID
フルテキストファイル
言語
jpn
著者版フラグ
出版社版
部局
病院
歯学系